付着物が多く、死滅したものが目立つ「若狭かき」=12月3日、福井県小浜市甲ケ崎

 福井県小浜市の内外海地区で養殖され、若狭湾の冬の味覚として人気がある「若狭かき」が、7月の高水温が一因とみられる不漁に見舞われている。特に同市甲ケ崎ではカキの死滅や生育不良が目立ち、養殖業者は「例年の3割以下」と口をそろえる。出荷が本格化する時期を迎えたが「泣く泣く注文を断っている」と嘆く漁家も少なくない。

 同市内では小浜湾沿いの甲ケ崎、仏谷で十数軒がカキを養殖しており、沖合の養殖いかだからカキを引き揚げ全国に発送している。12月になると、殻の表面に付着したホヤや藻などを削り落とす作業が本格化。海岸沿いの小屋では塊になっているカキをたたいてばらす「カンカン」という音が響くのが、冬の風物詩となっている。

 甲ケ崎で40年余りカキを養殖している男性(86)によると、いかだから引き揚げると殻の口が開いていて死滅しているカキが目立ち、ホヤやフジツボなどの付着物も多く「これだけの不漁は約10年ぶり。せっかく市内外から買いに来てくれても、売る分がない」と嘆く。三重県産の稚貝を育て約1万個を出荷する予定だったが、3千個ほどにとどまりそうだという。

 別の養殖業者からも「今年はサイズも小さい」「燃料がもったいないので、養殖いかだから船で引き揚げる作業も見合わせている」という声が上がっている。同市仏谷の漁家組合関係者も「死滅が多く、例年の半分に満たない」と話し、常連や民宿以外の注文を受けられない漁家もいるという。

 福井県水産試験場によると、日本海沿岸では今年7月、海水温が平年より高く推移していたため「付着物の貝などが成長してプランクトンの競合が起きたり、カキを捕食する生物が増えたりしたことも原因に考えられる」としている。

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