【論説】建設費が膨らんでいる北陸新幹線金沢―敦賀間の新たな財源を検討している与党のプロジェクトチーム(PT)が、2019年度の予算編成をにらみ対応を急いでいる。23年春の敦賀開業が遅れないよう、また過度な地元の負担にならないよう、確かな見通しを望みたい。

 金沢―敦賀間の建設費は、人件費の上昇や東日本大震災を踏まえた耐震性の強化、資材価格高騰で現行計画より2260億円増える見通しとなっている。このため、19年度政府予算の概算要求には、金額を示さない「事項要求」が盛り込まれた。

 新たな国費投入は約束されている形だが、問題はその額や、十分な財政措置が取られるかだ。そして沿線自治体の福井、石川県、運行主体のJR西日本の負担のあり方が注目されている。

 そもそも新幹線の建設費は、JRが国側に支払う線路使用料(貸付料)を充てた上で、残りを国と沿線自治体が2対1で負担する仕組みだ。貸付料が増えたり、ほかの財政措置が充てられたりすると自治体の地元追加負担分は軽減されるため、福井、石川県は国費や貸付料を最大限確保するよう求めている。

 11月28日の与党PT会合では、福井県は国費の確保や十分な財政措置を求めた上で、スキームに基づき地方負担に応じると表明。石川県も同様に国費や貸付料の増額を訴えつつ、県も応分の負担はするとの考えを示した。

 一方、JR西日本は貸付料の増額に反発。来島達夫社長は「貸付料の算定は建設費の増加と連動しない仕組みになっている。受益の決め方は30年間をならしてのこと。開業当初、一時的に乗客が増えても、20~30年後が保証されているわけではない」とし、負担増には応じられないと強調した。

 政府内では、国土交通省は国費増中心の対応を求め、財務省は北陸新幹線の乗客が予想を超えて好調なことを背景に貸付料のアップを唱えており、両省で綱引きが続いている。財源を巡る攻防は年末ぎりぎりまでもつれそうだ。

 調整は難航しそうだが、安倍晋三首相は10月の参院本会議で「目標時期(23年春)に確実に開業させるよう財源を確保し、着実に工事を進める」と答弁した。今回の財源確保策は、次のステップとなる敦賀―新大阪間の建設費の議論につながるものでもある。

 与党PT座長の岸田文雄自民党政調会長が「開業時期を守るため、年末までに必ず財源の見通しを成し遂げなければならない」と決意を示したように、政府・与党の責任で、財源の壁を乗り越えてもらいたい。

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