「新科目『公共』は、社会参加意欲を高める主権者教育のベース」と話す橋本康弘教授=福井県福井市の福井大学文京キャンパス

 選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、高校では2022年度から、主権者教育に向けた新科目「公共」が必修化される。若者の社会参画意識を高めるため、どういった授業づくりが求められるのか。福井大学の橋本康弘教授(公民教育)は▽弁護士など外部有識者との連携▽他教科との接続▽生徒が切実性を感じられるテーマ選び―がポイントだと指摘する。

 ■童話題材に憲法学ぶ

 次期学習指導要領では専門家や関係機関と積極的に連携することが明示されている。「地理歴史は得意だが、公民は不得意という社会科の先生は少なくない。弁護士や税理士、社会保険労務士といった外部の専門家と協力することで質の高い、深い学びにつながる」と橋本教授は強調する。

 例として挙げるのが、福井県福井市内の社会科教諭と福井弁護士会が2016年に連携してつくった、童話「アリとキリギリス」を用いて立憲主義を教える授業。「働きアリ」「老人アリ」「病気アリ」が食料をどう分け合うかという想定で多数決の限界や立憲民主主義の意義について考える内容で、橋本教授は「童話を教材にすることは聞いたことがなく、教師が普段気付けない視点」と言う。

 ■ホームルーム見直す

 「公共」の授業では、旧来の知識注入型でなく、生徒同士の討論を重視し、模擬選挙、模擬裁判といった体験型授業が求められる。ただ、こうした授業は限られた「公共」の時数だけで行うのは難しい。橋本教授は「総合的な学習、ホームルーム活動、生徒会活動といった他の時間と関連させながら進めていくことが重要。1人の教師だけでなく、学校全体の取り組みが求められる」とする。

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