【論説】暦が12月に入り、冬を迎えた。福井県では2月の豪雪被害を踏まえ、備えの進展が図られてきている。県は地域防災計画を改定し、除雪対策を拡充。民間でも除雪機械の運転講習会に例年にない多くの参加があるなど、意識の高まりが見て取れる。頼もしい動きである。寒さが本格化する前に、官民がそれぞれに準備を再確認したい。

 ■質と量で強化■

 県の除雪対策本部は11月7日に立ち上がった。市街地で大雪が降っても社会機能をまひさせないことを目標に、除雪車両への衛星利用測位システム(GPS)搭載、ロータリー除雪車の増強など、質と量の両面で対応を強化した。2月は各地の給油所で燃料不足に陥ったことから、テクノポート福井の油槽所につながる県道などが最重点除雪路線に追加されている。

 地域防災計画の改定では、豪雪の反省を踏まえ、細かな見直しが行われた。北陸道の除雪の考え方を「通行止めを回避することが重要」と明確化。鉄道の部分運行実施の努力、バスの柔軟なルート変更、道路状況を把握するカメラ増設なども書き込まれた。スーパーや給油所などには、大雪が見込まれる際に事前の在庫備蓄を求めている。

 県などは、これら新たな対応を関係機関だけでなく一般に周知してほしい。いざというとき関係機関がどんな段階で、どう動くか、考え方を県民が知ることで、政策効果が高まると期待できる。

 高齢世帯の除雪支援、生活支援についても、具体的な計画を確認しておきたい。

 ■先輩から知恵を■

 県民にもできることがある。地域防災計画は、大雪の前のマイカー満タン給油や灯油買い置き、食料備蓄などの重要性を新たに指摘した。勝山市のように食料などの備蓄目安を「最低3日分、推奨1週間分」と示したところもある。一人一人が心掛けたいポイントだ。

 今年の新社会人や県外からの進学者の中には、この冬が最初の雪道での運転経験になる人がいる。スピードを控え、急ハンドル、急ブレーキを避けることはもちろんだが、走る前に▽車の屋根の雪を落としておき、走行中に滑り落ちてフロントをふさがないようにする▽窓の曇りをそのままにしない▽ウインドーウオッシャーのノズルが凍結していないか確認する―など、安全に関わる注意事項は多い。家庭や職場などで、経験者から雪国の運転のこつをしっかりと伝えたい。

 ■「雪は降る」を前提に■

 気がかりは、生活道路の除雪対応である。2月は、幹線道路が優先されて生活道路に長期間除雪が入らず、自宅から車で出られないケースが多発した。同様の積雪があれば、行政の対応にはやはり限界がある。自治会ごとに除雪計画を話し合っておくなどの自衛策が求められる。

 国土交通省が先月打ち出した一部でのタイヤチェーン義務付け方針も懸念される。冬用タイヤでも立ち往生する可能性はあり、目的は理解できるが、着脱場手前で渋滞が起きないのかなど、運用面には課題がある。少なくとも、関係機関によるシミュレーションを重ねておくことが欠かせないだろう。

 今季はエルニーニョ現象の影響で暖冬傾向との予報がある。しかし油断はできない。昨年11月発表の3カ月予報は「平年並み」だったし、近年は突然、局所的な雪に見舞われることも珍しくない。幸い、2月にフェイスブック上に生まれた災害情報の共有グループが今も活動を続けるなど、県民の防災意識は高まっている。「大雪はきっと来る」前提で、備えを万全にしておきたい。

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