【越山若水】宇宙という、はてなき空間に法の網をかぶせるのは不思議な感じがする。とはいえ、宇宙が対象の国際法や国内法は確かにあり、総称して宇宙法と呼ばれるらしい▼例えば、ある国際法は、月など、太陽系にある地球以外の天体の天然資源は人類の共有財産だから、どんな国や団体、個人も所有できないと定めている。いわゆる月協定である▼書いてあることはもっともに思えるが、実はこの協定にはほとんど効力がない。米中ロなど宇宙開発を進める国の多くが批准していないからだ。日本も参加していない▼なかでも米国は、月や小惑星で資源を採取し、販売できるようにする法律までつくった。オバマ政権時代の2015年のことである▼中国でもかつて当局者が「宇宙の資源はそこに行って占領できる人のものだ」と発言して物議を醸した。利用を律するはずの宇宙法だが、強国の欲望の前に無力というほかない▼世界が宇宙ビジネスを争う中、日本はせめて民間の参入意欲を支えておきたい。ところが、人工衛星と宇宙ごみの衝突など事故に備えた補償制度創設が先送りの様相だ▼衛星運行に「国際ルールがない」のが理由というが、英仏は既に政府補償がある。ルールが整うのを待つとは気が長い。日本人で初めて秋山豊寛さんが宇宙に行き2日で28年となった。でも宇宙へ向かう環境整備は、加速してこない。

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