【越山若水】パーントゥにボゼ、メンドン、トシドン、カセドリ、スネカ…。書いても読んでも、ちんぷんかんぷん。これらがみんなユネスコの無形文化遺産に登録が決まった▼ナマハゲを代表とする計8県10件の来訪神行事である。ほとんどが片仮名で表記される。むろん好んでそうしているのではなく、語源がはっきりしないからだ▼美浜町の民俗学者・詩人の金田久璋さんに言わせると「民俗にとって起源を問うことほど至難なことはない」(「ニソの杜(もり)と若狭の民俗世界」岩田書院)のだそう▼民俗とは庶民の歴史であり、言い伝えの塊である。文字で記録された歴史が海面に出た氷山の一部だとすれば、民俗は海中深くに隠れた本体だろう。簡単には全貌をつかめない▼こむずかしい能書きはともかく、庶民の伝統行事が世界的に貴重と認められたのは結構なこと。ただ少し残念でもある。福井市にも似た行事があり、申請の余地はなかったのかと思うからである▼白浜町の奇習「あまめん」と越廼地区の「あっぽっしゃ」。後者は3年前に「ひとまず休止」となったので仕方がないにしても、何だかもったいない▼もっとも、登録が決まった地域でも先行きが危ぶまれているところがあるらしい。大きな理由は少子化だが、観光客が押し寄せてトラブルが起きていることも一因のようだ。民俗への無理解も極まった観がある。

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