基準となる春日公園地下水位の表示板。水位は毎日約5センチずつ下がっている=11月29日、福井県大野市春日3丁目

 福井県大野市の11月の降水量は観測が始まった1976年以降最少となる見込みで、「名水のまち」の地下水位は10月から減少し続けている。市内の観測基準となる春日公園では11月29日、地面から地下水位までの深さが6・78メートルを記録し、冬期(12月~3月)の警報発令基準「7メートル以上」に迫る数値となっている。市は節水を呼び掛けている。

 市によると地下水は例年、雪解け水が流れ、田んぼの水張りが始まる春から初夏にかけて水位が上がる。秋には一時下がるが、11月ごろから降雨で回復し冬を迎える傾向がある。

 今夏は酷暑が続いたものの2月の豪雪や集中豪雨、台風などで多くの“蓄え”があり、9月下旬までは平年並みを維持した。だがその後、同市の観測地点での10月の降水量は過去20年間で最も少ない88ミリと落ち込み、11月も28日現在55・5ミリ(過去10年間平均203・2ミリ)と観測史上最少の86ミリ(1986年)を更新する見込み。

 春日公園の水位は10月から毎日約5センチずつ下がっている。既に冬期の注意報発令基準「6メートル以上」を超えており、注意報発令となれば16年以来、警報は09年以来となる。

 市内では約8割の世帯がポンプで水をくみ上げ利用しており、市管工事協同組合によると、一般家庭では地下9~10メートルからポンプアップする人が多いという。

 乾川賢司理事長は「水位が7、8メートルとなれば、水が上がりにくい状況になる」と指摘。古いポンプなら、くみ上げが困難になる可能性があるとし「新しいものでも水量が3、4割ほどに落ちるだろう」と話す。

 市街地では昭和40~50年代に井戸枯れが起きた経験がある。市の担当者は「極端に秋の降水量が少なく井戸枯れが起きかねない状況。一人一人がこまめな節水を心掛けてほしい」と話している。

 ■大野市の地下水 市内は大部分が山に囲まれた扇状地。地下水で満たされている地層と水を通しにくい粘土質の地層が重なり、まち全体が水がめのような構造になっている。地下水量は推定平均9800万立方メートルあり、東京ドーム約80杯分ある。市内の約8割の世帯はポンプで地下水をくみ上げて生活用水に利用し、市上水道にも地下水が使われている。

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