1カ月ほど前から、立ち仕事や歩行中などに腰から下に力が入らなくなることが増えました。常時ではなく間隔もまちまちなのですが、無理に動こうとすると前のめりの姿勢になり、前に進めないことがあります。しばらくじっとしていると動けるようになります。自覚症状としては、両足のふくらはぎが重く感じる程度です。どのような状態が考えられ、何科にかかればいいのか教えてください。(福井県越前市、78歳女性)

 【お答えします】水野勝則・福井総合病院整形外科部長

 ■腰部脊柱管狭窄症などの可能性

 一般に下肢に力が入らなくなる原因は、大きく分けて二つあります。一つは「神経原性疾患」で、もう一つは「筋原性疾患」です。前者は脳、脊髄、馬尾神経、末梢(まっしょう)神経など筋肉に命令を送る神経系に問題がある疾患群。後者は骨格を動かす筋肉そのものに問題がある疾患群です。両者の鑑別には、筋肉の電気活動を波形としてとらえる「筋電図」が有用です。

 ご質問のように、立ち仕事や歩行中などに症状が悪化することや、78歳という年齢を考慮しますと、最も可能性が高いのは「腰部脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」です。腰部脊柱管狭窄症は、腰椎の中で馬尾神経が障害されて起こる神経原性疾患の一種であり、立位で症状が悪化する「姿勢因子」や、歩行を続けると両下肢のしびれや脱力を生じて歩けなくなる「間欠跛行(はこう)」が特徴的です。

 また、「前のめりの姿勢」や「前に進めない」といったキーワードから思い浮かぶのは、「パーキンソン病」です。パーキンソン病は、脳の中でドーパミンという神経伝達物質が欠乏して起こる疾患です。体幹が前屈してくる「前傾姿勢」や、一歩目が出なくなる「すくみ足」などは、パーキンソン病の特徴です。さらに、何もしていない時に手足が震える「安静時振戦」を認めるようなら、その疑いがかなり強くなります。

 ■まずは神経内科受診を

 そのほか、頚椎(けいつい)や胸椎に問題があることもありますし、糖尿病がある人は「糖尿病性神経障害」による筋力低下の可能性もあります。また、頻度は低くなりますが、さまざまな「筋原性疾患」も考えられます。これらを総合的に診断できるのは神経内科です。

 まずは、神経内科のある病院を受診して、「神経原性疾患」と「筋原性疾患」の鑑別をしてもらい、脊椎疾患の可能性が高い、ということになれば、脊椎専門の医師に手術適応の有無を判断してもらうのがよいでしょう。

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