【論説】税金の使い方を厳しく審査する独立機関の再検査だけに疑念が払しょくされるとの期待もあった。だが、報告内容には落胆させられたと言わざるを得ない。

 学校法人「森友学園」への国有地売却問題で、1年前の報告後に財務省の決裁文書などの改ざんが判明し、異例の再検査を行った会計検査院。その報告が先週、参院予算委員会の理事会に出された。

 6月の中間報告では、改ざん文書の提出が検査院法に違反し、昨年11月公表の検査報告に影響を与えたと指摘。再検査では中央省庁に対して初の同法違反を認定し、財務省などの職員らの懲戒処分を求める必要性も検討するとしていた。行政府の予算執行を厳格に審査する検査院がだまされただけに踏み込んだ判断をするとの観測もあった。

 しかし、今回の報告では、改ざん文書に関しては検査院法違反と認定したものの、既に当時の担当者が退職、処分されたことを理由に関係者の処分は求めずじまい。約8億円の値引きの算定根拠も「確認できない」と、前回の報告のままで妥当性の判断も回避している。検査院の限界を露呈した格好だ。

 森友学園を巡っては、小学校建設予定地が破格の安値で売却されたことが発覚。名誉校長に安倍晋三首相の夫人昭恵氏が就任していたことなどから、官僚が忖度(そんたく)し値引きしたのではないかとの疑惑が持たれ、野党が攻勢を強めた。国会の大きな争点となる中、財務省による文書改ざんや交渉記録の廃棄などの不祥事が明らかになり、当時理財局長だった佐川宣寿国税庁長官が辞任に追い込まれた。

 改ざんなどに関する財務省の内部調査は、佐川氏の意向に沿って行われたとしたが、動機に関しては麻生太郎副総理兼財務相が「それがわかりゃ苦労せん」と述べるなど、真摯(しんし)に向き合おうとしてこなかった。

 再検査報告では、財務省が値引きを決めた理由や、地下のごみの疑義に対する事実関係にも触れていない。さらには、国会を欺き、民主主義の根幹を揺るがした文書改ざんの動機にも言及がなく解明には程遠い。検査院の調査は終結する見通しというが、国会の要請を受けながらこの内容では、政権に忖度したのではないかとの疑念さえ湧く。

 検査院に代わり、立法府である国会の行政監視機能に期待したいところだが、入管難民法の改正案や新閣僚の資質問題などに追われ、十分役割を果たせていない。26日の参院予算委集中審議で野党議員が唯一、地下のごみに関してデータがねつ造されていた疑いを指摘したが、政府は取り合おうとしなかった。

 立法府の権威を踏みにじった事実、近畿財務局の職員が改ざんを巡って自ら命を絶ったことを改めて重く受け止めるならば、国会は幕引きとせず、真相を徹底解明していくべきだ。同時に、財務省のトップとして何ら責任を取らず、内閣改造でも続投した麻生氏に対して、けじめを求めていかなければならないだろう。

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