イノシシに掘り起こされた唐門前の広場=11月26日、福井県福井市城戸ノ内町

 国の特別史跡、特別名勝に指定されている福井県福井市の一乗谷朝倉氏遺跡で、イノシシが敷地を掘り起こす被害が相次いでいる。遺跡は三方を山に囲まれており、“襲来”は毎年のことだが、近年被害は拡大。特に今年は秋口から活動が活発化し、遺跡のシンボル、唐門前の広場や唐門内の義景館跡の地面が無残にえぐられ、景観が悪化している。抜本的な対策はなく、市や同遺跡保存協会は頭を抱えている。

 市の管理事務所や保存協会によると、イノシシは地面を掘り起こしミミズを探して食べているという。今年被害が初めて確認されたのは6月。10月ごろから唐門前広場南側の遊歩道沿いや、北側の水路沿い、唐門内の義景館跡、景鏡館跡などで芝生やコケが掘り起こされ、そのたびに市職員が土を埋め戻し、ひっくり返った芝生を元に戻している。被害範囲は昨年より広がっており、遺跡一帯が被害を受けている。

 市は特別名勝の諏訪館跡庭園、南陽寺跡庭園の山際約800メートルに電気柵を設置。イノシシは一度掘り起こした場所を再び掘り返すことが多いため昨年からは被害に遭った場所をネットで覆う対策をしている。いずれも設置当初は効果があったが、最近は電気柵を飛び越えたり、ネットを引きちぎったりして効き目が薄れてきている。

 京都府舞鶴市から夫婦で訪れた男性(74)は「自然の中にある以上、多少は仕方ないのかもしれないが、これ以上広がったら大変」と話していた。

 市の担当者は「イノシシ被害は全国の史跡で課題となっているが、電気柵を設置するにしても文化庁の許可を受ける必要がある。電気柵を遺跡全体に設置できたとしても、広すぎて管理しきれないだろう。何かいい方法あればいいのだが…」とため息交じりに話していた。
 

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