座学で松田多佳子さん(右)や増田とし子さん(中央)から指導を受ける山品百恵さん=19日、福井市の永平寺観光福井営業所

 福井県内で減少している若手バスガイドを育成する目的で8月に設立された新会社に、21歳の女性が第1号社員として採用された。バスガイドの仕事は車内でマイクを使った観光案内やバスの誘導など多岐にわたる。女性は未経験ながら早く一人前になろうと、座学や実践を通してスキルアップに励んでいる。

 会社は「プロデュースG.C.」(福井市中野2丁目)で、ベテランバスガイドの増田とし子社長(64)と松田多佳子取締役(41)が設立した。県内でバス会社に正社員として勤務するバスガイドが減り、現役の年齢層も上がっていることに危機感を抱き、若手の育成に乗り出した。若い女性を正社員として雇い、一人前に教育し、バス会社の依頼に応じて紹介する考えで、バス会社も育成協力金を支払うなど支援している。

 10月1日付で入社したのは山品百恵さん(21)=福井県越前市。短大卒業後に勤めていたインターネット関連会社から転職した。子どもの頃から「華やかで、お客さんと旅を楽しむバスガイドの仕事にあこがれがあった」といい、プロデュースG.C.の設立を新聞記事で知り、申し込んだ。

 面接で「笑顔がよく、やる気も伝わってきた」と増田さん。採用後は増田さんや松田さんから座学を受け、さまざまな観光地の情報を分厚い教本で覚えるなど奮闘している。

 松田さんらが実際にガイドを務めるバスに同乗し、実践的に学ぶ機会もある。帰ってきたら地図でルートや名所の場所を復習する。さらに、例えば京都なら「二条城では大政奉還があった」「北野天満宮には学問の神様、菅原道真がまつられている」といった数々の情報と、それらを車中で話すタイミングを再確認する。

 ほかにもバスを下車しての案内や乗客の人数確認など仕事はたくさんある。山品さんは「朝早く、夜遅いこともある。教本の暗記も大変」。それでも「乗務を終え、お客さまをお見送りするときは達成感がある。乗務中に要望に応え、お礼を言われるのもうれしい」とやりがいを感じている。

 11月下旬に京都、大阪、奈良を巡る小学校の修学旅行があり、山品さんが主体的な立場となって案内する予定だ。「小学生として行く修学旅行は一生に一度。楽しんでもらえるよう頑張りたい」と意気込む。将来的には「自分も子どもたちにあこがれられるバスガイドになりたい」との目標を胸に、努力を続ける。

 増田さんは「優しさと厳しさを持って指導し、早く一人前に育てたい」と話す。北陸新幹線の県内延伸を見据え、さらなる若手社員の確保も目指していく。

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