福井地方裁判所=福井県福井市

 窃盗と占有離脱物横領の罪に問われた住所不定、無職男の判決公判が11月26日、福井県福井市の福井地方裁判所であり、渡邉史朗裁判官は懲役10月、執行猶予3年(求刑懲役1年)を言い渡した。男は素性に関する記憶がないとして、氏名や年齢が不詳のまま起訴されていたが、閉廷後の法廷内で突然、弁護人に名前を伝える一幕があった。

 弁護人によると、男は30~40代とみられる。初公判で男は名前や生年月日を尋ねられても「分からない」と述べ、記憶喪失を主張していた。

 判決によると、男は住所不定の状態で南下して移動を続ける道中、9月9日に福井市内の歩道にあった自転車を横領。同10日午後2時半ごろ、同県越前市内のパチンコ店で、床に落ちていた、現金約8300円と免許証など10点が入った財布(時価合計1万円相当)を盗んだ。

 初公判では「今の目標、希望はとにかく関西に戻って記憶を取り戻すこと」と述べていた。判決後、渡邉裁判官は「ご自身が望まれる人生を送られることを望んでいます。二度と裁判所には来ないようにしてください」と諭した。

 閉廷すると男は弁護人席へ近づき、小声で「名前は○○です。覚えておいてください」と漢字4文字の名前を伝えた。自身の本名の可能性もあるが、弁護人は「真偽は不明」としている。

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