【論説】2025年の国際博覧会(万博)の開催地に決まった大阪。1970年以来、55年ぶり2回目の開催に誘致関係者や盛況だった前回を知る市民から歓迎の声が上がる。関西経済の底上げや、20年東京五輪・パラリンピック後の日本の景気浮揚策としての期待感も高まる。関西圏の一員である福井県にとっても発信の場として有効活用していく必要があるだろう。

 一方で、東京五輪のように費用負担が膨れ上がらないか、情報化社会の今、展示型イベントにかつてのような集客が見込めるのかなど課題も山積する。「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマの具体像も曖昧なままだ。隣接地にカジノを含む統合型リゾート(IR)施設を誘致する計画があり、ギャンブル依存症拡大の懸念と「いのち―」との矛盾を指摘する声も少なくない。

 大阪万博は会場建設費で1250億円、運営費800億円、地下鉄などアクセス整備に700億円が必要と試算されている。とりわけ会場建設費は国、大阪府・市、経済界などの民間が3分の1ずつ負担する。多額の税金が投入されることに批判がある上、民間分をどうするのかも決まっていない。建設資材や人件費の高騰などでさらにかさむ可能性も否定できず、透明性の確保が求められる。

 入場料で運営費を賄う以上、目標の2800万人の来場をクリアしなければ、経済波及効果の2兆円も画餅に帰してしまいかねない。前回万博は6400万人以上が訪れ、高度経済成長の記念碑的なイベントとなった。会場跡地にはニュータウンが形成されるなど、成長の一端を担った。

 万博の見直しで1994年に「国威発揚型」から「課題解決型」へと転換して以降、大量の集客は難しくなっている。テーマパークとの競合やネットの普及などが進んだためだ。

 「いのち―」のテーマでは医療関連の大学や企業が集積する関西ならではの情報発信のほか、AI(人工知能)やVR(仮想現実)といった技術を駆使したイベントも実施するようだが、人工島・夢洲(ゆめしま)の155ヘクタールもの広大な会場が必要なのか疑問視する声もある。

 一過性の万博を補うとされるのがIR施設だ。大阪は東京などと並んで訪日客の人気は高いが、市民生活への弊害も指摘される。民泊新法で規制を強化する自治体もあり、どこまで許容できるかの問題も残る。

 今年9月の台風21号禍では関西空港が閉鎖に追い込まれる事態となった。同じ人工島であり、夢洲でも災害対策は不可欠だ。地盤沈下に加え、南海トラフ巨大地震の津波想定なども課題になる。

 松井一郎大阪府知事は「大阪都構想」で大阪経済は復活すると説明し、住民投票で僅差とはいえ否決された経緯がある。万博決定に際して「ここからがスタート。大阪がもっと良くなる」と述べた。カジノを含め真に効果が期待できるのか、府民ならずとも注視していく必要があるだろう。

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