【越山若水】昔ばなしをさせてもらうと、部活で卓球をやったことがある。中学時代、週の半分は廊下の隅が練習場所だった。使えたのは1台だけで、球を打ち合う部員の後ろは通るのがやっとのスペースしかなかった▼その台も板の塗装がほとんど剥げてぼろぼろ。通りかかった教師から、「こんな狭い所でやっているから人間まで小さくなるんだ」と、無意味に毒づかれたこともある▼ユニホームに白い部分があってはだめと言われたころで、台は濃い緑。タレントの影響で暗いスポーツとも揶揄(やゆ)されたが、うまい反論が思いつかなかった▼時代は変わって、卓球は今、Tリーグが順調に滑り出している。福井市で行われた公式戦を2日目にのぞきに行って驚いた。1670人が入場し、自由席はほぼいっぱいである▼県営体育館の広いフロアに、コートがたった一つしつらえられていた。両チームスタッフがリードし、観客席からその1台に声援と手拍子が注がれる▼ハーフタイムには公式サポーターのダンス。卓球の観戦は初めてと見受けられる中高年の方々もおられたが、新しくて明るいスポーツエンターテインメントを満喫していた▼平日夜ながら家族連れも多かった。体育館の明かりを背にその人たちに交じり帰途に就いた。卓球に限らずこんな楽しみが増えるのはとてもいい。国体・障スポが残したものの一つでもある。

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