自身の半生をつづった「我が太鼓持ち人生の裏座敷」など2冊のエッセーを手にする、あらいさん

 酒の席やお座敷などで場を盛り上げお客を楽しませる男芸者=幇間(ほうかん)、太鼓持ち=として活動する福井県福井市の太鼓持あらい(本名・荒井正三)さん(72)がエッセーを出版した。自身の半生と、年中行事をテーマにした2冊。芸への思いや活動中のエピソード、季節を大切にする日本文化について、お座敷芸のごとく軽妙にまた趣深くつづっている。

 あらいさんは理髪店を営む傍ら、20代の頃から太鼓持ちとして活躍。太鼓持ちは、にぎやかな踊りや歌を派手に繰りだす関東系と、お茶屋の狭い座敷で話術を生かして場を持たせる関西系に分かれ、関西系の太鼓持ちは現在、全国であらいさんのみという。

 今回、活動の集大成とする「我が太鼓持ち人生の裏座敷」は、太鼓持ちという仕事をはじめ、おとなしく人見知りだった少年が京都の花街に興味を持ったきっかけ、お金もコネもない中でさまざまな試練を乗り越え、県内外、そして海外に招かれることになった活動の様子が、当時の心境とともに赤裸々に表現されている。

 一方の「記憶に残したい 風流人の12か月」は、あらいさんの芸を支えた、節分や七夕といった年中行事や祭りの内容などについて記録。お座敷での“大人の遊び”も交え、自身の挿絵とともにユーモアたっぷりに紹介している。

 「ナンキン(カボチャ)で連想するものといえば、冬至ではなくハロウィーンという時代。太鼓持ちが減り、お座敷に呼ばれることも少なくなったが、お座敷文化の伝承はもちろん、やりたいことを諦めずに続けてきた私の記憶が、何かを志す人のきっかけになれば。古き良き日本の文化である年中行事も、太鼓持ちの視点を通して再確認してもらえたら」と話している。

 A5判で各千円(税別)。福井市の勝木書店本店、二の宮店のほか、書籍通信販売のアマゾンで取り扱っている。

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