デビュー時から歌のテーマが変化していると語った、来年15周年を迎える木村カエラ。

 来年、歌手活動15周年を迎える木村カエラが約2年ぶりとなるミニアルバムを『¿WHO?』をリリース。今年は絵本作家としてもデビューし、多彩な一面を見せる木村カエラの今が詰まったアルバムで、デビュー当時は“葛藤”や“叫び”だった歌のテーマが変化しつつあるという。そんな今作に込めた想いや、そしてライフステージの変化も経験しながら15年目に突入した“今”と、これからの音楽活動についても語ってもらった。

【写真】衝撃の“顔面スタッズ”、前作アルバムインタビュー

■「これ誰?」個性的な楽曲からの気づき“何にでもなれる”

――アルバムは2年ぶりのリリースとなります。

【木村カエラ】 2016年ぶりですね。前回のアルバム『PUNKY』の後、絵本の制作期間に入って、音楽よりも絵本に向かう時間のほうが多かったんです。でもその間にありがたいことにタイアップの曲も多く出来上がっていきまして。今は15周年に向けて動いていくなかで、オリジナルアルバムを作ろうかという話も出たんですが、タイアップ曲それぞれの個性が非常に強くて、いったんここでミニアルバムを作ることにしたんです。

――印象的なタイトル『¿WHO?』ですが、どんな想いが込められているのでしょうか。

【木村カエラ】 私自身がこれらのタイアップ曲を聴いてみたら、子どもみたいに歌っている歌もあれば、大人っぽい楽曲もあって。改めて聴いてみて「これ誰?」って私自身が言っちゃったんです。もちろん私1人なのですけれど(笑)。その時の「誰?」って感覚が新鮮で、WHOという言葉が出てきました。

――どんな制作期間でしたか。

【木村カエラ】 『PUNKY』終わりで絵本に突入した時から今まで、自分らしさというテーマがずっと続いているんです。そんななかでようやく私らしさという“個性”が答えとして出てきていて。「こんなに違うの?誰?」という考え方をポジティブに捉えた時に、やろうと思えばなんでもできる、なろうと思えば何でもなれるって、そういう想いが強くなっていたんです。それって素敵なことだと思いました。「あなたは今誰ですか?」「なりたい自分になれていますか?」、そういうメッセージを考えていました。

――まさにリード曲の「COLOR」(日本テレビ系ドラマ『プリティが多すぎる』主題歌)の歌詞にもそのエッセンスが多分に盛り込まれていますね。“変わりたい人”へのエールですし、今のカエラさんの想いを表していると思います。

【木村カエラ】 そうですね。自分でも改めて思ったのですが、全曲に共通しているのが“日々の暮らしのちょっとした気づき”かもしれないです。

――「小さな英雄」(映画「ちいさな英雄 ―カニとタマゴと透明人間―」のエンディングテーマ)も子供に勇気を与えられるようなメッセージが込められています。「Run To the Rainbow」はホノルルマラソンのテーマで、走ることは前に進むことでもありますよね。

【木村カエラ】 「小さな英雄」は子どもと母親に向けた曲です。子育ては終わりのない旅みたいなもの。愛する子のためだからできるものだと思います。でもやっぱり、人間だからときには嫌気がさすこともあると思うんです。その大変さが、「そうだよね、子どもってジェットコースターだよね」「それが“のびのび”ってことなんだ」って、この曲を聴いて少し気分が楽になってもらえたら嬉しいですね。お母さんたちに贈るエールの歌でもあるかな。日々の中で“共感”を歌にしているのかもしれません。

――親子で聞いて楽しんでもらえる曲というのも今のカエラさんらしいですね。

【木村カエラ】 大変な人を見ていると、やっぱり“がんばって”って思いが自然と出てきますね。

あと、今回は15周年の一歩手前なので、1499枚限定で手書きのジャケットへの落書きとシリアルナンバー、サインが手書きで入っています。途中からわからなくなってきて同じことを書いていたりもするんですが(笑)

■絵本制作で原点回帰、“直感”を信じる強さを

――先ほど話にも出ましたが、今年は絵本作家としての活動も話題になりましたね。このアルバムに収録されている楽曲の世界観もそのまま絵本にできるようなストーリー性がありますね。絵本と音楽をクロスさせていくような活動は今後も続けられるのでしょうか?

【木村カエラ】 デビュー当時からずっと絵本を出すことが夢で。絵本がすごく大好きでした。絵本のような簡単な言葉で子供も大人も魅了するシンプルさは歌にも絶対に必要なエッセンスです。自分の歌詞をそういう風に書きたいと思っているんです。絵本にしたいなと思って書いた歌詞もいままでたくさんありましたし、歌詞を書くときは簡単な言葉で絵が浮かぶようにイメージすると、絵本っぽくなっていく部分はありましたね。

――サラリといいますが、頭に浮かんだビジュアルイメージを言葉に落とし込むのは身を削る大変な作業じゃないでしょうか。

【木村カエラ】 今回の「COLOR」とか、過去の曲にも難しい言葉が入っている曲もあるんですけどね。楽しんでやっていますよ。

――カエラさんの音楽は元々絵本的なイメージとリンクしていたんですね。絵本の創作活動は音楽にも生きていると。

【木村カエラ】 そうですね、例えば手書きの絵本は一発で線を引かないと(書かないと)いけない、色選びも間違えられない。そういう緊張感がある作業で、「自分を信じて、自分の直感を頼りに書き進めていく」ことがものすごく楽しくて。頭に浮かんだイメージとか、直感を信じることの大切さを思い出させてくれました。若い頃は直感を信じて創作活動をしていたけれど、大人になって、直感だけではなかなか動けなくなっている自分もいました。直感を曲げて、工夫を凝らしすぎると“広く”はなるんだけれど、思ったものとかけ離れてしまう。やっぱり直感を大切にする強さは間違いがなくて面白いんだと。絵本創作は結局、 “感性を取り戻す”作業なんだって。楽しかったですよ(笑)。

――そういう感覚が今回の『¿WHO?』の楽曲にも生きているわけですね。

【木村カエラ】 絵本が終わって音楽に戻って歌詞を書くときは、その感覚を大事にしないといけないなって思いました。だから、今回も歌詞を書くのがすごく楽しかったです。

■歌手生活15周年、音楽への向き合い方の変化

――15周年企画で考えていることがありますか?

【木村カエラ】 今注目を集めつつある“歌詞集”が出せたらいいですね。ものすごく書いているので!

――そして、2004年にメジャーデビューしてから15年目。ライフステージの変化も経験してこられた15年ですが、音楽との向き合い方に変化はありましたか?

【木村カエラ】 10代は自分の将来についての活動とか心の整理がついてなくて、その葛藤を分かって欲しい“叫び”が楽曲になっていた部分がありました。そんな歌詞を書いていくうちに自分がクリアになっていったんですね。5周年10周年と関わってくれる人も聴いててくれる人も増えてきて…私の歌で元気になりました、という声も聞くようになりまして。私の歌で元気になってもらえるんだということをファンの方から教えてもらえたことで、自分の作品スタイルは「誰かの力になりたい」という風に変わってきたのかもしれないです。

――そうして今回のアルバムは「エール」「人間賛歌」というメッセージが込められたわけですね。 “叫び” だった音楽というものは、今はどんなイメージになっているのでしょうか。

【木村カエラ】 雲の隙間から差し込む小さな光の筋でしょうか。燦々と照らす太陽の光ではなく、かすかな光が自分に差し込むような…そこに気づくか気づかないか。そんな光に変わってきています。

■“暗闇”から抜け出した時の木村カエラが自分でも楽しみ

――20周年に向けてこれからの5年間ですか

【木村カエラ】 やったことないことを自分からどんどんやっていきたいと思ってます。これまで出会ってきた色々なジャンルの方達とカエラフェスをやったり、カエラギャラリー(個展)をやったり、カエラの脳内ツアーみたいなこともやってみたいですね。もちろん20周年のライブも、先ほどの歌詞集も!

――やりたいことがものすごくあるんですね(笑)

【木村カエラ】 最近すごく増えてきたんです。

――昔からエネルギッシュなイメージですが…?

【木村カエラ】 もちろん昔からやりたいことだらけだったんですけれど、少し前まで自分のことを改めて分析して、落ち着いていたんです。ライフステージが変わっていくうちに、やりたいことが何なのか分からなくなってきて、闇の中でもがいて、自分を見つめ直す意味で原点であるパンクをテーマにしたアルバム『PUNKY』を前回出したんです。そして、今まただんだん創作意欲が増えてきていう状態に突入してきています。もう少しでそこから抜けきった時の自分がどうなるのかも楽しみです。

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