【越山若水】シジュウカラは器用な小鳥で、宙づりになった木の実なども上手に食べる。落花生を糸で木からぶら下げておいたら、枝まで糸をたぐり寄せたとの観察記録もある▼その様子に目を凝らしていたのは人間ばかりでなく、スズメも見ていた。次第にまねをし始めたけれど、うまくいかない。なにせ体のつくりから違うのだから▼そんな文章を、鳥類学者の川上和人さんとマンガ家のマツダユカさんの「トリノトリビア」(西東社)で見かけた。凡庸なスズメらしい、と苦笑を禁じ得なかった▼先日来、気持ちのいい青空が広がっている。去年のきょう、勝山市で除雪車が初出動したのとは段違いに暖かい。近くの街路樹に数羽のスズメが遊んでいるのが、ほほえましい▼思いだすのは、やはり小林一茶である。スズメを数多く詠んだのはご存じの通り。別になんということもない平々凡々さがわが身に重なって、何事か言いたくなる気分は分かる▼先の本に戻ろう。庭の餌台で観察を続けて3年後のこと。3羽のスズメのうちの1羽が糸にぶら下がって落花生の殻を割り、中にあるピーナツを食べることに成功した▼川上さんはこう書いている。このスズメはシジュウカラだけでなく仲間にも学んで技を会得したようだと。たった2年ほどの命を彼らは精いっぱい生きる。凡庸と評して悪かった。厳しい冬に負けないでほしい。

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