「外国人のための防災教室」で通訳を交えた3者通話による119番通報を体験する台湾出身の男性=9月、福井県福井市防災センター

 日本語が話せない外国人からの119番通報に対応する多言語通訳サービスが、福井県内三つの消防局・消防本部で導入され、福井市消防局は最多の14カ国語に対応している。外国人からは「助かる」と歓迎の声が聞かれる。一方で他の6消防本部は「利用がほぼ見込めない」などとして、検討中の段階。県内在住の外国人向けだけでなく、東京五輪や北陸新幹線敦賀延伸でインバウンド(訪日外国人客)の積極的な受け入れを目指す中、課題が残る。

 同サービスは、日本語が話せない外国人から119番受信があった際に、消防職員が民間のコールセンターにつなぐ仕組み。外国人通報者と消防職員がセンターの通訳を介し通話することで、症状や場所などを正確に把握する。

 あわら、坂井両市を管轄する嶺北消防組合消防本部は前年からの試行を経て、2016年4月から本格運用。英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語の5カ国語は24時間、午前8時から午後5時まではさらにロシア語やタイ語など7カ国語を加えた12カ国語に対応する。

 同消防本部は「新幹線開業や東京五輪を控え、増えるであろう訪日外国人からの通報に対応するため」と説明する。ただし、近年の利用数は16年度2件、17年度2件にとどまった。

 最も利用実績が多いのは越前市、南越前町、池田町を管轄する南越消防組合消防本部。16年4月から運用開始した。嶺北と同様の24時間5カ国語対応で、16年度は中国語5件、ポルトガル語と英語が各2件、17年度はポルトガル語4件、中国語2件の利用があった。同組合は「外国人への積極的な広報をしていく」とする。今年4月に多言語通訳サービスを導入した福井市消防局は、9月に開いた「外国人のための防災教室」で利用体験してもらった。台湾出身の32歳男性(福井市)は「自分は日本語が分かるが、台湾人は救急車や消防車を呼ぶのに助かると思う」と話していた。

 未導入の敦賀美方消防組合と大野市消防本部は、通報者が日本語を話せない場合、火事なのか救急なのかなどを尋ねたり日本語を話せる人と代わるよう依頼したりする主要5カ国語の音声を流し、概要を把握する。鯖江・丹生消防組合は「当面はスマートフォンの通訳アプリを活用して対応していく」としている。

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