菊作りに励む山口静さん=11月8日、福井県大野市

 菊作りに取り組む福井県大野市の山口静さん(72)の作品が、大阪府で現在開かれている第35回日本菊花全国大会の特作花壇の部で最高賞の内閣総理大臣賞に輝いた。夏の酷暑や台風にも負けず丁寧に育て上げ、北陸の名所「兼六園」をテーマに造形。山口さんは「バランス良く咲きそろった。1年間健康で世話できた証し」と満足そうだ。

 大会は全国の菊愛好家でつくる「日本菊花会」が毎年開き、全国の名人が腕を競う。三本立花壇や福助花壇、切花単花など9部門あり、特作花壇の部には山口さんを含む8人が出品。花の咲き方や空間の使い方、配色などの観点で審査され、山口さんは内閣総理大臣賞と一般客の投票で決まる「オランダ大使館賞」などを受賞した。内閣総理大臣賞は2015年に続く2度目の受賞。

 特作花壇は会場の幅5メートル、奥行き4メートルの空間に自由に菊を配置して競う。山口さんはだるま作りや懸がいなど10余りの種類を用いて菊を巧みに配し、特別名勝の日本庭園を表現した。その背後には小菊で造形した巨大な白山も。繊細な作り込みと迫力を併せ持つ仕上がりに「アイデアや開花状態が抜群」(主催者)と評価された。

 山口さんは菊作りを始めて30年。食事の時間以外は、ほぼ自宅裏のビニールハウスにこもって菊に話し掛けながら世話を続けている。会場で作品を見た妻みさ子さん(67)は「お父さんの優しさと、きちょうめんさが表れていた」と頬を緩める。

 30代に交通事故で右足を無くし「体を動かさない趣味を見つけないと」と本格的に始めた園芸は、今では一番の生きがいだ。「おかげさまで30年間一度も休まずに菊作りができた。健康でいれることが一番幸せ」と山口さん。「来年はどんなテーマにしようか」と次回作に心を躍らせている。

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