【論説】NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話事業大手3社が、そろって通信料を引き下げる方向となった。具体的な料金プランの設計はこれからだが、ただ値下げするだけでなく、利用者に分かりやすい料金体系とするよう求めたい。

 スマートフォンの利用者だと、1年間に支払う通信料金は10万円程度になる。値下げは歓迎されるだろうが、事業者が進んで決めたと言えないのが残念だ。

 8月に菅義偉官房長官が4割程度下げる余地があると発言して以降、政府は有識者会議を新設するなど値下げを促してきた。この圧力に、やむを得ず応じたように映るのである。

 民間企業の経営に直接、手を突っ込むような政府のやり方は褒められたものではない。これに対し、大手3社は明確な反論をしてこなかった。現状が正当な料金水準なら、根拠を示して対抗すればよかった。

 それを思えば、政府から何も言われなければ高い料金のままにしておくつもりだったのかと、利用者から疑念を持たれても仕方がないだろう。

 携帯電話は料金の高さとともに複雑な料金プランにも批判が根強い。必要のない端末とセットにすれば安くなると勧められ、契約はしたものの何か釈然としないと感じていた人も多いだろう。ほとんど利用していないサービスなのに、満額の料金が請求書に盛り込まれていて驚いたとの話も、よく聞く。

 内容を理解しないで契約したのが悪い、と簡単に片付けられるだろうか。説明書にはなじみのない専門用語が細かな文字で記され、読み通すのも一苦労だ。中高生や高齢者が完全に理解するのは難しいに違いない。説明を受けても、かかる時間がとにかく長い。

 問題は料金体系などの分かりにくさにある。何か条件を付けて安くするような複雑な仕組みを単純化するよう、値下げと併せて設計してもらいたい。

 携帯電話はいまや日常生活に欠かせない生活インフラである。災害時の活用ぶりを考えれば分かるように公共性も非常に高い。できるだけ安く利用できるサービスであるべきなのは間違いない。

 一方で通信事業の運営には、良好なサービスの維持や高速大容量の第5世代(5G)移動通信システム向けの投資などで巨額の資金が必要になる。値下げとのバランスをどう取っていくかが今後、3社の課題になるだろう。

 このうちKDDIは、2019年10月に携帯電話事業に参入する楽天と業務提携する。KDDIは楽天に通信網を貸し出し、楽天はネット通販やスマホ決済のサービス基盤をKDDIに提供する。互いの経営資産を利用し合い、競争力を高める狙いだ。

 業界はこれまで3社による寡占状態が続いていた。この提携が業界全体の刺激になり、互いに切磋琢磨(せっさたくま)しながら低料金化やサービス向上、一層の新規参入が進むよう期待したい。

関連記事