休線となっている敦賀港線。JR貨物は、敦賀市の鉄道遺産の活用計画を巡る用地交渉で、全線の買い取りを求めている=福井県敦賀市金ケ崎町

 福井県敦賀市の金ケ崎周辺に鉄道遺産を使って蒸気機関車(SL)を走らせる市の整備計画を巡り、計画地を所有するJR貨物との用地交渉が進んでいない。計画では休線となっている敦賀港線の港側の一部を活用する予定だが、JR貨物側は敦賀駅付近までの港線全線の敷地を買い取るよう求める条件を提示。市と県は、用地購入費が大幅に増える上、港線全線の利活用計画も今のところなく、打開策を迫られている状況だ。

 ■19年度まで協議

 鉄道遺産の活用計画は、2023年春の北陸新幹線敦賀開業に向けた観光誘客のため、市が6月に策定した「金ケ崎周辺施設整備基本計画」に位置付けられた。資料館「人道の港敦賀ムゼウム」の移転拡充と2本柱の計画となっている。

 JR敦賀駅構内にあった転車台を設置し、敦賀港線の一部を利用して敦賀港駅付近から西側330メートルの区間で、太陽光エネルギーを活用した客車付きSLを走らせる構想。転車台を保存している県の活用可能性の調査結果がベースになっている。スケジュールは19年度まで用地協議し、20年度から着工して新幹線開業時までの供用開始を目指している。

 ■全線だと用地倍に

 鉄道遺産の活用計画エリアは約3・4ヘクタールで、JR貨物の用地がほとんどを占める。

 「市に協力して用地は有償で提供する考えはあるが、計画内の用地だけを売却すると、残りの(敦賀港線の)土地の処理対応が難しくなる」。JR貨物関西支社の担当者は、港線全線の買い取りを求める条件を提示した理由を語る。

 09年に運行休止した貨物専用の敦賀港線は、JR敦賀駅から敦賀港駅まで延長約2・7キロ。全線の敷地面積は約7・5ヘクタールで、計画用地の倍以上となる。用地費については「まだ市側に提示していない。そこは双方の鑑定額を出し合っての協議になる」(担当者)と述べるにとどめた。

関連記事