【論説】文部科学省が公表した問題行動・不登校調査によると、2017年度に全国の学校が把握したいじめの件数が41万件を超え、過去最多を更新した。11年に起きた大津市の中2男子の自殺をきっかけに、軽微な事案も報告する意識が浸透しつつあるのは歓迎したい。

 一方で「重大事態」も大幅に増えていることに注意すべきだろう。現場がきめ細かな対応に追われるあまり、深刻な事態に対応し切れていないとすれば問題だ。ネットいじめなど学校にも限界がある。家庭との間で一層の情報共有を図るなど取り組みを加速させる必要がある。

 文科省の調査では、全国の国公私立の小中高、特別支援学校が17年度に把握したいじめは、前年度より約9万件増え41万4378件。文科省の指導以降、認知数は約6倍に増えた。

 いじめ防止対策推進法が定めた重大事態は78件増の474件で、骨折など心身への大きな被害が191件、年間30日以上の不登校も332件あり、両方に該当するケースもあった。自殺は250人に上り、うち10人がいじめによるものだったという。

 福井県内の認知件数は214件増の1247件。気がかりなのは、いじめの解消率が3・4ポイント減の83・1%で、全国平均を2・7ポイント下回ったこと。県教委が「安易に解消したと見なさず、寄り添って支援し見守っていく」としたように、深刻な事態に至らないよう配慮してもらいたい。

 全国調査を内容別で見ると、軽微な事案に目を光らせたこともあり、冷やかしや、からかいなどが最多の62・3%。ネットやSNS(会員制交流サイト)を介した誹謗(ひぼう)中傷は3・0%だったが、合計では1853件増の1万2632件で過去最多となった。

 深刻なネットいじめが浮き彫りになったのは16年に自殺した青森市の中2女子の事例だ。SNS上に「死ね」「きもい」などが約20件あったことから「いじめ」と結論づけられた。この種の認知割合は3%とされ、生徒の発するわずかなSOSのサインをどうすくい上げるかが課題だ。

 このケースでは当初、市教委の審議会は「思春期うつ」としたが、家族の反発でメンバーを入れ替えた結果、いじめと認定された経緯がある。最近では埼玉県川口市の中学男子がいじめ被害を訴え3回自殺未遂していた問題で、市教委が文科省のガイドラインに反する対応をしていた。学校、教委側がまずは事実に真摯(しんし)に向き合うべきだろう。

 一方、さまざまな理由で不登校となった小中学生は1万348人増の14万4031人。福井県内は高校を含め155人増の1115人で6年ぶりに千人を超えた。17年施行の教育機会確保法は不登校の児童生徒には休養が必要とし、国や自治体による支援の対象としている。重大事態や自殺を生まないためにも「不登校は悪いことではない」をさらに浸透させる必要がある。学校や家庭、地域社会の一層の連携が求められる。

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