【越山若水】平成の世を象徴する言葉をいくつか挙げるとすれば、最上位の一つは「デジタル」だろう。「アナログ」を蹴散らすように、デジタル機器が社会を席巻していった▼目覚ましいというより目まぐるしかった。パソコンを支給されても文字を不器用に打ち込むだけで、ネットも満足に使えなかった。そんな初期の頃が懐かしい▼たかだか20年ほど前のことである。それがいまや電話付きパソコンと言った方がいいスマホを、肌身から離せない。手元にないと数日先の予定さえあやふやになる▼先日、ふらりと書店に寄った。心ひかれたのは、来年のカレンダーや手帳類を集めた特設コーナーである。この時期にはおなじみの光景だが、ことしは別の興味をもって眺めた▼来年5月1日、皇太子さまは新天皇に即位される。10月22日には「即位礼正殿の儀」が行われる。この二日について、各手帳メーカーがどう扱ったのか確かめたかったのである▼政府は来年に限って祝日とする考えだが、そのための特別法はまだない。各社がどうしたのかといえば、日付はどこも黒字。でも、祝日を示す国旗を入れた社があった▼この国会で法が成立し、新たな祝休日ができても改訂版は出そうにない。持ち主自身が日付を赤く塗るなり工夫の必要がある。いかにもアナログながら、デジタル全盛の世にこんな手作業をするのも面白そうだ。

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