福井県勝山市杉山集落についてかつての住民から取材する生徒=2015年12月

 福井県勝山市北谷町河合にある「かつやま子どもの村中学校」の生徒が県内外の廃村や過疎化した集落を訪ね、その要因に迫る調査活動を続けている。研究内容を4年前に本にまとめ、今秋には加筆し新たに出版した。過疎化に至った共通課題やそれぞれの要因に目を向けつつ、未来への視点も中学生なりの鋭い視点で提言している。

 調査は体験学習の一環として2012年度に1~3年5人が始めた。地域の文化や伝統を学ぶ中で、身近な地域で廃村になった集落があることを知ったことがきっかけだった。地元勝山市の中野俣、横倉のほか福井県大野市の旧西谷村、県外にまで足を延ばし原因を探った。14年には本「中学生が書いた消えた村の記憶と記録 日本の過疎と廃村の研究」(黎明(れいめい)書房)を出版した。

 15年夏、後輩たちが学校にほど近い勝山市杉山が前年に人口ゼロとなり、行政区から消えたことを知り、改めて学習テーマに据えた。生徒6人が元区長ら住民を訪ね、住んでいたころの生活や仕事、杉山分校の様子などを聞き取りした。

 1930(昭和5)年に300人近く住んでいた杉山集落は農業や炭焼き、養蚕を営みにぎわっていたがその後、徐々に人口が減少した。生徒たちは他の廃村集落と比較検討を繰り返し▽産業構造の変化による第1次産業の衰退▽高校進学率が高まり子供が出て行った▽豪雪▽交通の利便性向上―など複合的要因があると結論づけた。

 また、同じ過疎化にさらされながら自然体験ツアーや古民家修復で交流人口が増えている小原区も取材した。

 新たに出版した本では杉山や小原の集落の取り組みをまとめ、人口減の要因のほか集落の維持方法を考察。たとえば杉山では独自のカブラ生産や古民家を生かした学生宿泊などを再生のヒントとして提案している。

 メンバーの一人、中山千嘉さんは「この本のための経験は私の宝物。多くの人に読んでほしい」とコメントしている。

 丸山真生校長は「地元について調べることは意義深く、よく頑張った。前回と同じことは書けず難しかったのではないか」とねぎらっていた。

 増補版はA5判252ページ。2400円(税別)でネットなどで販売されている。

 「かつやま子どもの村」は1998年、廃校となった北谷小の校舎を借り受けて学校法人「きのくに子どもの村学園」(和歌山県)が私立小学校として開校した。2001年に中学校も設置。現在は県内外の小学生53人、中学生34人が在籍し、寮生活を送りながら実践的なカリキュラムに取り組んでいる。10月20日開校20周年の記念イベントを開いた。

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