【論説】坂井、坂井西両署と坂井市が7月に結成した「さかいドライブレコーダー見守り協力隊」(ドラレコ隊)が注目されている。「動く防犯カメラ」「事件事故解決への有効手段」として、日に日に隊員が増加。県内外の自治体からは、隊設立の手順を知りたいという問い合わせが相次いでいる。一方、撮影された映像は広範囲で、目的以外の情報が多く含まれるだけに、過度な監視につながらないよう適切な管理を求めたい。

 ドライブレコーダーは、車のフロントガラスなどに取り付け、走行中の様子を動画で撮影する。記録された映像が犯人や不審者の特定に結びついたり、事故防止につながったりすることから両署と市の3者で隊を立ち上げることにした。

 警察が事業所と個別に協定を結ぶケースはこれまでもあったが、隊員の対象となるのはドラレコ搭載車を保有する市民ら全て。市内で事件や事故が発生した際、隊員のメールアドレスに概要を一斉送信。現場近くに隊員がいた場合に映像を提供してもらう仕組みだ。

 運転中、児童の登下校の見守りやあおり運転なども監視する。ドラレコを搭載していれば抑止効果が期待できるため、車の後部に専用ステッカーを貼る。発足当初の登録台数は約400台だったが、10月26日現在で約620台に増えている。

 ドラレコは、2017年10月に神奈川県の東名高速で起きた「あおり運転」による交通死亡事故を機に、自衛策としての映像記録の重要性が改めて注目され、全国で設置するドライバーが急増している。17年にはドラレコの販売が、初めて100万台を超えた。

 こうした背景もあり、坂井署などには隊発足後、県内外から問い合わせが相次いでいる。敦賀市は、隊発足に前向きな意向を市会で示し、勾留中の容疑者の逃走を許した大阪府警富田林署がある富田林市も、興味を示した市民の意向を受け、坂井市に詳細を問い合わせてくるなど関心が高まっている。

 街頭などへの新たな防犯カメラ設置は各自治体とも、犯罪抑止効果を理解しつつプライバシー侵害につながる可能性を懸念、二の足を踏むのが現状。ドラレコ隊は新たな予算を必要とせず、一気に多くの監視の目を光らせることができる。

 一方で、ドラレコの映像はドライバーの意思に基づいて提供されるが、撮影された不特定多数の側から個別に同意を得ることは難しい。自分の情報がどこでどう使われるか、市民が知るすべは乏しい。犯罪捜査と抑止の点で強力な武器となるが、映像を確認しデータを扱う側は、プライバシーに配慮した慎重な取り扱いが求められる。

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