【越山若水】春は青、夏は紅(あか)、までは分かるけれど秋が白、冬が黒なのはどういうわけなんだろう。中国の五行思想で四季に割り振られた色の話である▼童謡の「真っ赤な秋」にあるようにこの季節の色彩で目立つのは赤だし、白は雪の冬にこそふさわしくないだろうか。といって赤秋、白冬でもなじまない気がする▼きょうは詩人で童謡作家、北原白秋の忌日である。五行説を元にした「白秋」の号の響きが美しく、詩趣をそそられるままに勢いでたたいてみた無駄口だった▼だれもが一度は口ずさんだことだろう。♫ああそうだよ、の高音がしみる「この道」。♫チョッキンチョッキンチョッキンナは愉快なカニの「あわて床屋(とこや)」。数々の作品がある▼毛色の違うのは「待ちぼうけ」だ。農民が野良仕事をしていると、ウサギが木の株にぶつかって…というお話。味をしめた農民はウサギが切り株にぶつかるのを日々待ち続け、畑は荒れ果ててしまう▼四字熟語にして「守株待兎(しゅしゅたいと)」。たまたまをあてにして待つのは愚かだと戒める、中国の故事そのままの作品である。面白いけれど、故事自体いかにも作り物じみている▼いや、これは遠い昔の中国に時間感覚を持たない人間がいたことを示す、と言う識者がいる。なるほど「一帯一路」なんて遠大な構想は日本人には描けそうもない。秋を白という感覚が不思議なのも当然だろうか。

関連記事