代行運転やタクシー利用を呼び掛ける居酒屋の張り紙。女性店主が逮捕された後に作った=9月、福井県内

 酒を出した店側にも責任が及ぶとは知らなかった。「まさか自分が逮捕されるとは。飲酒運転は自己責任だと思っていた」。客が飲酒運転する恐れがあると知りながら焼酎などを提供したとして、福井県内で居酒屋を経営する女性(66)は、道交法の酒類提供違反容疑で逮捕された。県内初の摘発。運転者と同様、罰金と運転免許取り消し2年となった。

 2017年10月、常連客の60代男性が昼すぎに来店した。店の前に10台分ほどの駐車場はあるが、男性は毎回近くのパチンコ店から歩いてやってくる。「わざわざ来てくれるんだから」と、帰りはパチンコ店まで送迎してあげることもあった。「パチンコしたら代行で帰りねや」「気をつけねや。捕まるざ」。注意したことはあったが、男性はいつも「分かった分かった」と気のない返事を繰り返すだけ。

 その日、男性には生ビールや焼酎を出した。何杯か飲んだ後に男性は歩いて店を出たが、その後、飲酒運転で帰るのだろうとは思っていた。

 男性はその後、県道で衝突事故を起こし、酒気帯び運転で現行犯逮捕された。数日後、警察官が店での飲酒状況を聞きに来た。3週間後の早朝、今度は自宅に大勢の捜査員が来た。店の家宅捜索後、警察署へ行き、酒類提供の疑いで手錠を掛けられた。「びっくりした。そんな罪があるなんて…」

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