今年6月ぐらいから視力が落ち、眼科を受診したところ「網膜中心静脈閉塞症」と診断されました。右目だけで物を見ると、ゆがんだり、ぼやけたりします。「アイリーア」という注射を打ち、少しずつ間隔を長くしている状況です。この病気との付き合い方や治療について教えてください。(福井県小浜市、67歳女性)

 【お答えします】宮下洋亮・福井県立病院眼科医長

 ■高血圧が主な原因、レーザーや手術治療も

 網膜は眼球の内側で光を受け止める役割をしています。網膜の中央近くにある視神経乳頭から動脈と静脈が網膜全体に広がり、中を流れる血液が網膜の働きに必要な酸素や栄養などを運んでいます。

 網膜静脈閉塞症は、網膜の静脈が閉塞したために血液の流れが滞り、網膜に出血や浮腫(むくみ)が起こる病気です。光を受け止める働きが悪くなるため見え方にも影響が及び、閉塞の部位や範囲に応じて、視力低下や視野障害、歪視(ゆがんで見える)などの症状が現れます。

 一般的に中心(全体)の閉塞の方が、分枝(一部分)の閉塞よりも重症となり、網膜の中央にある黄斑部が障害されると視力低下が深刻になります。最も多い原因は高血圧ですが、糖尿病や高脂血症など動脈硬化の危険因子にも注意が必要です。

 硝子体内注射が一般的な治療法です。治療効果が一時的で再発する場合には、硝子体内注射を繰り返し行います。内服薬も補助的に使用することがあります。なかなか治らない場合には、網膜光凝固術(レーザー治療)や手術をすることもあります。

 ■片眼で決まった場所見て確認

 発症前の見え方まで回復することは難しいので、症状が残っていても、病状が安定した時点で治療は終了となります。その後も硝子体出血、血管新生緑内障などの合併症が起こることがあるため、引き続き定期検査は必要です。

 治療が長期にわたる病気ですので、指示を守り定期検査を欠かさず受けるようにしましょう。普段両眼で見て生活していると、片眼の見え方が悪くなっていても気付かないことがあります。時々片眼ずつで決まった場所を見て、以前の見え方と大きく変わっていないか確認すると、病状が悪化した時に早く気付けます。高血圧など原因となる疾患については、生活習慣を改善する心がけが大切です。塩分や脂肪分を控えた食事、適度の運動、禁煙など規則正しい生活を送りましょう。

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