越前焼の薄作り技術と越前漆器の装飾技術を生かした腕時計の試作品=福井県越前町の越前焼工業協同組合

 越前焼工業協同組合(福井県越前町)が、独自の薄作り技術を生かした腕時計の商品化を計画している。他の焼き物産地にはない技術を広く発信するとともに、商品幅を広げるきっかけにする。越前漆器の装飾技術も取り入れ、福井が誇る伝統的工芸品の魅力が詰まった逸品を目指している。11月末まで、開発費100万円をクラウドファンディング(CF)で募っている。

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 同組合は2006年度、県工業技術センターと共同で高強度の陶土を開発。従来より薄くて軽い商品の生産が可能になった。近年は薄作りの酒器や茶器のシリーズを相次いで発売。安価な輸入品の増加やライフスタイルの変化で各焼き物産地が苦戦する中、他産地との差別化を図る商品として、国内外に売り込んでいる。

 腕時計は、薄作り技術をアピールするとともに、食器中心の既存商品以外への展開を目指して企画した。近隣に産地がある伝統的工芸品とのコラボで付加価値を高めようと、越前漆器の技術を駆使した腕時計を手掛けるサンユー(福井県鯖江市)と連携する。

 越前焼はリング状にして文字盤周りにはめ込む。窯元がろくろで手作りするが、厚さは約1ミリ。作業は繊細さを極め、完成までにゆがんだり、焼成の際の収縮率が条件によって異なったりして、時計の規格に合った形になるのは1割程度という。

 文字盤には漆を塗り、蒔絵や螺鈿(らでん)といった技法で装飾。漆器の艶やかさと焼き物の風合いがマッチした仕上がりを目指す。同組合の大瀧和憲営業課長は「職人の技術や魂を、持ち歩く感覚で身に着けてもらえたら。薄作り商品の幅を広げるきっかけにしたい」と意気込んでいる。

 来春の発売に向け、10種類程度のデザインを考案する。価格は4万~5万円程度を想定している。

 CFによる開発費の調達は「インターネットを使った新しい営業スタイル」(大瀧課長)として、宣伝効果も期待して活用。県の「ふるさと納税による新事業創出支援事業」に認定され、CFサイト「レディーフォー」で募っている。

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