【越山若水】「私つくる人、僕食べる人」―。テレビから流れるインスタントラーメンのCM。この放送が中止になったのは今から43年前、1975年のきょう10月27日だった▼折しもこの年は国際婦人年で、参院議員の故市川房枝さんらが「男女の役割を固定化する差別的な内容だ」とメーカーに抗議。不買運動も辞さないと通告した▼日本にはびこる社会的・文化的なジェンダー(性差)に一石を投じた出来事として今も記憶される。いわば、男女が対等に向き合う社会を目指す出発点でもあった▼あれから半世紀近く。しかし寂しいかな、わが国の状況にさほど進展が見られない。働き方や仕事術について研究する健康社会学者、河合薫さんは自著「残念な職場」(PHP新書)でそう指摘する▼ある企業トップは「私は女性を登用したい」と熱心に話しながら、女性社員がエレベーターを先に降りると「女は三歩下がって…という言葉を知らんのか」と文句を言った▼要するに女性の登用も、国籍や性別、学歴にこだわらない人材活用「ダイバーシティー」も、改革という名の“見せかけのスローガン”だと手厳しい▼政府も大同小異。女性管理職の比率「2020年30%」を目標に掲げるが、現実は2016年度12%と達成にはほど遠い。最近では「女性活躍推進」の掛け声も次第に小さくなっている。心変わりが残念である。

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