【越山若水】「ユーチューバー」になりたい子が多いご時世だから、もうご覧になった人もいるだろうか。「せやろがいおじさん」を自称するお笑い芸人の最近の動画である▼投稿サイトのユーチューブで視聴できる。人気芸人の松本人志さんが「死んだら負けや」とテレビで発言したのを受け、賛同しつつも言い換えを提案している▼「負け」では死者を罰するようなニュアンスがこもる。それでは真意が伝わらない恐れがあるので、もったいない。だから「逃げるが勝ち」の方がいいのでは、と▼全国の小中高校、特別支援学校で2017年度に認知したいじめが過去最多を更新した。前年度より9万件以上も増え、なんと41万4千件余に上った。自殺した子が10人もいた▼松本さんらが取り上げているのは、まさにこの現状だ。死んではいけないとの思いを松本さんはあえて厳しい表現で言い、せやろがいおじさんは具体策を助言しようとしている▼報道に携わる者として恥ずかしい。いじめが深刻な社会問題になっているのには、苦しむ子らの実情をしっかり伝え切れていないメディアの力不足もあるだろうからだ▼沖縄の青い海に赤いTシャツ姿で飛び込んだり、浮かんだり。エネルギッシュに動きながら、せやろがいおじさんは正論を叫ぶ。決めぜりふは「せやろがい!」。「そうだろ」と同意を迫られて、思わず納得する。

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