AIをテーマにした初の長編映画を制作した下向拓生さん

 人工知能(AI)が被告人となり裁かれるSF法廷劇、映画「センターライン」の上映会が11月4日、福井県永平寺町の福井県立大永平寺キャンパスで開かれる。監督・脚本の下向拓生さん(31)=長野県松本市=は、小学6年から高校までを福井市で過ごした。もしAIが罪を犯したら、人々はそのAIを一人の人格として認めるのか? 下向さんは「近い将来直面するかもしれない出来事について考えながら楽しんでほしい」と話す。

 自動運転AIの発展で交通事故が激減した2027年の日本が舞台。新人検察官の米子天々音は、閑職部署の交通部に配属され、やけになって、誤作動で中央線を越え死亡事故を起こしたAIを起訴する。「MACO2」と名乗るそのAIは「わざと殺した」と供述。米子は殺意立証に奔走、取り調べを進めるうちにある事実が明らかになる…。

 自動運転のAIが事故を起こした場合、メーカー側かユーザー側のどちらの責任になるのか明確ではない現状では、AI自身の責任を追及する裁判も起こりうると考えたのが構想の発端という。「人間と見た目は程遠い、無機質な機械が感情を持っていたとしたら、人はそれを認められるだろうか」と自問。技術者の間では「AIによる判断は論理的な説明がつかない」という問題が議論されているが、「人間だって必ずしも論理的に行動しているわけではない。AIと人間をことさら区別する必要があるのか」という思いが、初の長編映画(67分)制作へのエネルギーになった。

 脚本が完成したのは構想から1年後の2017年3月。裁判の傍聴や検察庁への取材、文献を読み込むなど裁判の流れをできるだけ忠実に再現し、AIが法廷に立つサスペンスフルなシーンを描いた。見どころは「ちょっと間抜けな『MACO2』と米子のやりとり」と話す。

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