久留米絣のもんぺについて語る白水さん=10月9日、福岡市内

 伝統の織物で作ったもんぺが、年間1億5千万円以上売れている。福岡県南部の筑後地方に伝わる久留米絣(くるめかすり)。製造元のホームページでは「日本のジーンズ MONPE」と紹介され、旅行やハイキング、ビーチといったシーンに合わせたもんぺをはいた男女のモデルがほほえんでいる。

 製造する株式会社「うなぎの寝床」は自らを「地域文化商社」と呼ぶ。社長の白水高広さん(33)は「もんぺをたくさん売ることが目的ではなく、久留米絣の生産システムをしっかり回すことが目的」と穏やかに話す。

 白水さんは2012年夏、福岡県八女市に筑後地方のものづくりを伝えるアンテナショップ「うなぎの寝床」を友人と2人でオープンした。久留米絣の着心地の良さに注目し、同年にイベント「もんぺ博覧会」を開催。たんすに眠る久留米絣の反物を活用したいという要望に応え、反物の幅に合わせた細身の「現代風もんぺ」の型紙を販売した。翌年は絣の織元が縫製した実物を販売、マスコミに取り上げられてヒットした。

 ただ、織元は布を織ることが本職。大量の注文には対応できず、白水さんたちは生地を購入して、縫製工場に依頼。約1500本の在庫を抱え、供給体制を整えた。

 現在は全国の小売店70~80店に卸も行う。卸価格に見合う生地も織元と一緒に開発した。小売店には絣の製造工程を伝える動画を送ったり、産地を直接案内したりと、商品のストーリーとなる歴史や文化を伝えている。

 白水さんは「もんぺに関しては、見えてきた課題、要望を具現化していったら結果メーカーになった。地域文化を担保するため、商業領域を担っている」と会社の役割を説明する。

 産地の“弱点”を分析して補い、戦略と覚悟をもって一定の流通量を確保することで地元での信頼を得る。地域文化商社という看板は、産地の課題に合わせて仕事を柔軟に変えていく白水さんたちの特色を反映している。

 今年のRENEWの特別企画「まち/ひと/しごと」には、うなぎの寝床のような新しい感覚、戦略で地域に貢献している21団体が全国から参加する。地域との接点はものづくり、食、教育、福祉、IT、防災などさまざまだ。18日から販売や展示、ワークショップ、トーク会を通じてノウハウを伝えてくれる。

 ものづくりのイベントとして始まったRENEWは、もう一回り大きな視点から持続可能なまちづくりに取り組もうとしている。「いろいろな地域の文化が交易することで、新しいものが生まれたり、未来のビジョンが共有できる」。参加する白水さんの期待も大きい。

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 持続可能な産地を目指し、2015年に福井県鯖江市河和田地区で始まった産業観光イベント「RENEW」。今年はエリアを福井県の丹南全体に広げ、10月19~21日に開かれるRENEWの「これまで」と「これから」を探る。

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