自殺した男子生徒の母親が寄せた手記

 福井県の池田町立池田中学校で昨年3月、2年生の男子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、担任教諭らの厳しい指導、叱責(しっせき)が要因と結論付けた調査委員会の報告書が公開されてから1年となる10月15日、母親が手記を公表した。「どうしたら子供が元気に家に帰ることのできる教育となるのか、もう一度丁寧に考えて頂きたい」と、再発防止への願いがつづられている。

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 手記は便せん3枚に手書きで記してある。愛息を失い約1年半。報告書に衝撃を受けてからの1年を「私達遺族の時計は、あの日から動くことはなく現在も止まったまま」と表現し、「中学生ぐらいの子供たちを見かけるたび、涙があふれてきます。家の至る所に息子のいた風景があり、もう会えないんだ」と悲痛な胸の内を明かした。

 再発防止への同町の取り組みについて「会議の内容について教えてほしい、と教育長に繰り返し伝えていますが、教えて頂けることは稀(まれ)にしかありません」と情報の少なさを指摘し、教育委員会にきめ細かな対応を求めている。

 取材に対し母親は「報告が遅いし、口頭での説明が多くて覚えきれない。とりあえず会議を開いて役職を設けて、何か答えられるようにしているだけかと思ってしまう」と不信感を口にした。8月下旬に開かれた教育大綱改定に向けた検討委については、既にホームページに掲載されている議事概要を会合の約1カ月半後に受け取ったという。

 男子生徒の同級生は今年3月に同校を卒業した。母親は「(息子の学年の)卒業から教委の報告が減っているように感じるが、再発防止の取り組みと卒業は関係ない。報告の少なさが、本当にちゃんと取り組んでいるのか、という疑問につながっている」と話した。祖母は「怒っているのでなく、あの子が学校でどうしていたかを知りたい。(再発防止に向け)意見を交わすことが、ほかに悩んでいる子を救うことにもつながるはず」と目を潤ませた。

 【池田中生自殺】池田町池田中で昨年3月14日、当時2年生の男子生徒が校舎から飛び降りて死亡した。町教委が設置した有識者による調査委員会は同10月に報告書を公表、担任と副担任の厳しい叱責が自殺の要因と結論付けた。校長ら管理職による指導監督や教員間の情報共有にも問題があったと指摘された。福井地検は今年1月、市民団体が提出した校長や担任らに対する業務上過失致死容疑の告発状を受理した。

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