【論説】「福井しあわせ元気大会(全国障害者スポーツ大会=障スポ)」で大勢のボランティアが奮闘中だ。今年は豪雨や台風、地震が相次ぎ、ボランティアへの関心は一層高い。「少しでも役に立ちたい」と被災地に向かった人も少なくないだろう。

 本年度の福井県ボランティア作文コンクールに寄せられた作品にも、さまざまな体験がつづられ、喜びや感動、気付きに満ちあふれている。小中高校、一般の各部門最優秀作からは自らの心の成長にもつながった、そんな姿がうかがえる。

 ■豪雪なんの、頑張った■

 自然災害といえば、県内も例外ではなかった。今年2月の豪雪はいまだ記憶に新しい。中学生の部最優秀作に輝いた1年男子生徒は、雪に埋もれた公民館を目の当たりにし「ただただ避難所を開けないと、いけない」の思いから懸命に雪をかき分け続けた。差し入れにも励まされ見事完遂。達成感に浸るシーンは臨場感にあふれる。

 公民館の広報紙などに紹介されるが、彼は有頂天になるどころか、内省を続ける。そしてボランティア活動が「人の心を温かくしてくれる」ことに気付き「これからも進んで参加したい」と締めくくった。豪雪にも負けない、雪国・福井人に息づくDNAを感じさせてくれた。

 小学生の部最優秀作の6年女子児童は、豪雨被災地で汗するボランティアのニュースを見て、ふと「私にできること」を自問。コスモスの種を送り、花を見ることで被災者に笑顔を取り戻してもらおうと考える。「笑顔を届けるボランティア活動」の題名は秀逸だ。できれば、被災者の笑顔を彼女に見せてあげたい。

 ■プロ並みの学習支援■

 高校生の部最優秀作を書いた3年女子生徒はマラソン大会の受け付けや老人ホームでの活動を通して、人の気持ちを理解することやコミュニケーション力の大切さを実感。多くの学びを積み重ねる中で「人見知りの性格を克服」できたという。自分を成長させてくれたお年寄りらへの感謝の気持ちが執筆の原動力にもなったのだろう。

 山口県で行方不明になった2歳児を発見し、一躍時の人となった尾畠春夫さん。救出劇もさることながら、ボランティアのプロともいえる活動ぶりも脚光を浴びた。

 一般の部最優秀作に選ばれた29歳男性の活動もまたプロの領域といえるものだ。学習塾で働いた経験を生かし、学習支援ボランティアとして向き合った3人のケースをつづっている。それぞれの長所短所に寄り添い、何を伝えるべきかに注力。「子供が持つ本来的な意欲、『生きよう』とする意志を引き出すことが、私たち大人の役割」としたくだりは教育の本質を突いている。今後の実践に大いに期待したくなる。

 ■書くことで気付きも■

 県ボランティア作文コンクールは、1997年にスタートし、今年で22回を数える。この年の1月に発生したロシアタンカー重油流出事故がきっかけだった。95年の阪神大震災は「ボランティア元年」と称され、平成はまさにボランティアの時代だったともいえるだろう。

 応募作の中には、尾畠さんの活躍や、被災地のボランティアに触発されたことをつづった作品も多い。関心は大いに高まっている。ただ、もう少し体験を書き込んでほしい、そんな印象の作品も少なくない。地域の大会支援や、学校での奉仕活動など身近な活動から体験を深めてもらいたい。

 今年は国体・障スポを大勢の県民が裏方として支えた。50年に1度というビッグイベントで得た貴重な体験を来年のコンクールに応募してはどうか。書くことで新たな気付きもある。「マイ・レガシー(遺産)」になること請け合いだ。

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