不審電話と容疑者の足取り

 警察官などを名乗った特殊詐欺の不審電話が北陸3県で相次ぐ中、福井県警は10月13日、電話のかかってきた地域に約30人の捜査員を投入し約5時間にわたって尾行する“大捜査網”を展開し、窃盗の疑いで特殊詐欺グループの一員とみられる千葉県千葉市、無職=ともに自称=の男(22)を逮捕した。

 逮捕容疑は数人で共謀して11日、金融庁職員を名乗って石川県能美市の80代男性に「あなたのキャッシュカードが偽造され、口座から現金が引き落とされている」「今から職員が行くので、キャッシュカードを準備してほしい」などと電話をかけ、同日、男性宅を訪れた容疑者がキャッシュカードを盗んだ疑い。キャッシュカード2枚と暗証番号を書いたメモを持参した封筒に入れさせ、のり付け部分に押印して開封せず保管するよう指示し、男性が印鑑を取りに行った隙に別の封筒とすり替えて持ち帰る手口だった。

 越前署と県警捜査2課が、福井、福井南、坂井、鯖江4署と合同捜査し逮捕した。越前署によると「今は話すことはありません」と容疑を否認している。容疑者は盗んだカードを使って11日に石川県内の現金自動預払機(ATM)で現金を引き出したとみられている。

 キャッシュカードをだまし取ろうとする不審電話は10日に富山県内で10件以上、11日に石川県内で数件確認されており、福井県警はカード受け取り役(受け子)の犯人が南下して“福井入り”すると予想していた。

 不審電話は12日午後0時半以降、坂井市内で2件発生。捜査2課によると、警戒を強めていた捜査員が、ATMの防犯カメラ映像とよく似た男を住宅街で発見し、同日午後2時半ごろ尾行を始めた。

 男はJRや私鉄、タクシーを乗り継いで南下し福井、鯖江、越前市の5駅ほどで乗り降りを繰り返した。その間、午後5時ごろ以降に鯖江市内で2件、越前市内で13件の不審電話が続発した。午後7時半ごろ、JR武生駅で県外行きの切符を買ったため、捜査員が職務質問した。

 越前署によると、ATMでは数十万円が引き出されたが、逮捕時の所持金は数万円だった。石川の高齢者宅にはスーツ姿で現れたが、普段着に着替えて移動していたとみて捜査している。

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