【論説】福井しあわせ元気国体の天皇杯、皇后杯を福井県が手中にした。天皇杯は前回福井国体以来、皇后杯は初の快挙である。チーム福井の選手全員が力を振り絞り、その積み重なりが栄冠となって輝いた。たくさんの感動を県民に広げた選手たちに感謝を表したい。

 会期前に印象的な場面があった。準優勝を果たし、正式競技で最初に表彰台に上がったビーチバレー女子の村上めぐみ選手が悔し涙を流し、ペアの幅口絵里香選手に慰められていた。県民の声援を間近に感じ、勝利を切望していたという。2人の姿はチーム福井を奮い立たせるものだった。

 そして自転車勢が勢いを付けた。会期前、総合開会式を目前に組まれた日程で、初の男女総合優勝をつかみ取った。得点の貢献のみならず、国体への期待を最大限に膨らませてくれた。

 そこからのチーム福井は隙がなかった。これまで強豪県にはね返されていた競技が、相次いで新しい地平を開く。剣道、卓球、サッカー、ラグビーなどから、競技別あるいは種目別で初優勝の声が次々と届いた。

 さらにボート、馬術、フェンシング、体操、ライフル射撃、重量挙げなど、お家芸の競技が安定した戦いでチーム福井のエンジン役となった。3日は10種目で優勝するなど表彰台ラッシュの一日となって、天皇杯、皇后杯とも1位に浮上。終盤にもホッケー、なぎなた、空手道、ゴルフなどが活躍し、最終日を待たず天皇杯、皇后杯優勝が確定した。

 地元国体を目標にしてきた選手たちは仲間との絆、試練を克服して得た強さ、恩師や家族への感謝などをそれぞれ胸に秘めていた。紙面で紹介したのはほんの一端で、全員に期するものがあったはずだ。ここ一番で思いを結実させた活躍は一つ一つが胸を打った。

 縁あって県外からやってきた選手たちの力も大きかった。ある選手は競技の集大成を福井に懸け、ある選手はチーム福井入りに競技のステップアップを求めた。福井への思いは、地元選手に劣らなかっただろう。

 2年後には、東京五輪が巡ってくる。チーム福井の中から、今回の成果を糧として、世界最高の舞台を目指す選手が出てくることを期待したい。

 もちろん、勝利がすべてではない。バレーボールの清水邦広選手は試合後「結果は負けましたが、何かみなさんに伝わるような試合ができたんじゃないでしょうか」とツイートした。スポーツの良さを象徴するひと言である。すべての競技で応援に声をからした県民や、大会を支えたボランティアにとっても価値ある天皇杯、皇后杯獲得だった。

 国体に向けて取り組まれてきたスポーツ強化は一区切りとなるだろう。しかし、成果を一過性のものにしてはいけない。福井を、スポーツ文化が花開く場所として輝かせたい。

 誰もが分け隔てなく、自身のために何かに打ち込むことができ、周囲には支える人たちがいる。スポーツ文化が定着することで、そんな地域が実現していくはずである。国体は今日で幕を閉じるが、今週末から始まる全国障害者スポーツ大会にも大いに注目したい。

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