【越山若水】哲学者、鷲田清一さんと批評家、大澤聡さんが「現場的教養の時代」というテーマで対談。生存の技法としてのリベラルアーツ(一般教養)の重要性を説いている▼現代社会では簡単に答えが出ない問題が多数ある。答えは複数かもしれず、そもそも答えがない可能性もある。その状況は「無呼吸の潜水状態」といっていい▼そんな中で鷲田さんが注目するのが「アートの力」である。一般に国家や企業は計画を立て目標を設定する。しかし画家や演劇人はゴールを定めることを好まない▼何よりワクワク感を優先し、アイデアを出し合う。既存のシステムに頼らず、あり合わせのもので作品を仕上げていく。展示・発表では寄付を募ったり、受け付けをしたり、打ち上げ会の準備もする▼日曜大工のような「ドゥ・イット・ユアセルフ」が基本で、学業で「人と違うことが褒められる」のは唯一アートだけである。これは地域づくりの立案と運営に活用できる▼代表的な成功例が香川県の直島。瀬戸内国際芸術祭の中心地で、あちこちに現代美術が展示されている。2016年には25万人がアートの島を訪れた▼新潟県の越後妻有・大地の芸術祭も世界最大規模で、50万人近くが来場する。まさに「アートの力」といえる。さて文化・芸術の秋を迎え、創造的な息吹が漂う季節。本県も「アートの力」の見せどころである。

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