山岳成年女子リード3位の賞状を手にする廣重幸紀選手と、活躍をたたえる父の廣重敏さん=10月7日、福井県池田町池田中

 「父がいなかったらクライミングを始めていなかった」。福井しあわせ元気国体(福井国体)で10月7日、山岳成年女子リード3位となった福井の廣重幸紀選手(22)=福井県鯖江市出身、福井県スポーツ協会=の隣に父、廣重敏さん(51)の姿があった。地元国体の重圧とも戦いながら、6日のボルダリング5位と合わせ2種目入賞。父として、県山岳連盟競技委員会の強化部長として、活躍を間近で見届けた敏さんは「培った実力を証明してくれた」とたたえた。

 廣重選手は、クライミングが趣味の敏さんの影響で、小学5年生から競技を始めた。体操選手だった敏さんは日本体育大学でコーチングを学び、20代半ばで体操のナショナルコーチや五輪強化コーチを務めた経験がある。当初から予定以上の練習に取り組む娘の姿に「指導者として(気持ちが)めらめらと燃えてきた」。

 体に重りを着けて登るなど負荷をかけた練習を繰り返し、1カ月420回、1年で5千回ほど壁に挑み続けた。父と鍛えた持久力は、世界を転戦する今も廣重選手の強みだ。得意のリードは高さ12メートル以上の壁を登って到達した高さを競う。7日の決勝は、まさに「持久力が必要なコース」(廣重選手)。安定した動きを見せ、「実力を出し切ればいける自信があった。大満足」と笑顔をみせた。

 「幸紀ちゃん、ガンバ」。会場がひときわ沸いた廣重選手の競技中、敏さんは最前列から誰より力のこもった声援を送った。海外の大会も多く会場で応援するのは久しぶり。廣重選手以上に緊張した表情でオレンジ色のメガホンを握り、「大丈夫だよ」「思い切って」と呼び掛けた。

 廣重選手は今年3月に福井大学を卒業し、関東に拠点を移した。「(10月下旬の)ワールドカップでも納得いくパフォーマンスをしたい」と次を見据える。敏さんは「真面目な性格で関東でも半端な練習はしていないと信頼している。次のステップに向けて頑張って」とエールを送った。

山岳
リードは、高さ12m以上(ルートの長さ15m以上)、幅3m以上のクライミングウ…
山岳
関連記事