【論説】坂井市ゆりの里公園の誘客増へ、市は若手職員らによるワーキングチームを近く立ち上げる。斬新なアイデアを集め、集客力の高いイベントなどを展開していく計画。東尋坊や丸岡城とともに、同市の長期周遊・滞在型観光確立の一翼を担う拠点の一つとして、にぎわいの創出につなげられるか注目される。

 ゆりの里公園は、旧春江町が2001年に4万2900平方メートルの敷地に整備。ユリの花を伏せたようなドーム「ユリーム春江」を中心に展示ほ場、花き管理施設、バーベキュー広場などを配置した。10万輪を超えるユリを植栽した展示ほ場では毎年、赤や黄など色とりどりの花が咲き誇る。

 ただ、同公園がにぎわうのはユリが見頃を迎える6月のほぼ1カ月間に限定されていた。一年を通じた誘客につなげ、新たな観光名所とするため市は、農業用水のパイプライン化を機に、市の農業の発信拠点と位置付けて再整備を計画。地域の大切な水路だった十郷用水を想起させる「せせらぎ水路」やイルミネーション、プロジェクションマッピング、農産物直売所、レストランを相次いで整備した。

 昨年11月のリニューアルオープン当初こそ、イルミネーション目当ての家族連れらで連日にぎわったものの、その後は来場者数が激減した。せっかくの施設を効果的に活用するソフト面が十分とはいえず、リピーターや県外客の獲得につながっていないのが現状だ。

 こうした状況を憂慮し、市は若手職員によるワーキングチームの立ち上げを決めた。▽インスタ映えスポットの整備▽SNS(会員制交流サイト)での発信強化▽参加・体験型イベントや結婚式の開催-などを盛り込んだ地元の活性化協議会策定のビジョンを踏まえ、施設の利点を生かした集客策を検討する。

 観光客のニーズは単に観光地を訪れるだけでなく、その土地の食や歴史文化、自然、農林漁業の体験、地元の人との交流などへ広がっている。同公園リニューアル時の「パイプラインの水で育まれた市の農業、農産物を発信する」という目標は道半ばという状況ではないか。

 同市丸岡町の鳴鹿堰堤(えんてい)から地下のパイプラインを通った水は、同公園内にもある調圧水槽などを経て、同市三国町地域まで農地を潤している。その水で作られた新鮮な農産物を使った食を楽しめ、購入できるのは同公園の大きな魅力だ。公園西側にはイチゴとブドウ狩りが楽しめる体験ハウス整備も進行中という。福井の農産物の一大産地として、丸岡から三国へとつながる「水と食のストーリー」を描きPRするのも面白い。

 イルミネーションなどはあくまで付加価値の一つ。坂井市ならではの誇りをいかに磨き、発信するかは忘れてはならない視点だ。

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