【論説】「読書の秋」である。この時期に興味深い調査結果が発表された。県教委が行った県立高生徒の学習状況調査である。1カ月に読む本の冊数は平均1・64冊で「1冊も読まない」が43・2%、「1~2冊」が42・9%で合計86・1%を占めた。

 また学年が上がるにつれてその傾向が顕著になり、3年生は48・4%が読書ゼロだった。よく指摘される「高校生の読書離れ」がなかなか改善されない現状が浮き彫りにされた。

 読書の普及は国を挙げて進めている。10月27日~11月9日は「読書週間」で、第72回の今年の標語は「ホッと一息 本と一息」。4本柱の一つに「特に青少年に読書をすすめる運動」を掲げるほど、若い世代の読書離れ防止は重要な施策である。

 ■全国的な長年の課題■

 若者の読書離れや活字離れは、最近急浮上した課題ではない。2001年に「子ども読書推進法」が、また05年には「文字・活字文化振興法」がともに議員立法で成立し、行政に本や活字に親しむ環境整備を求めたように長年の懸案。そこで「朝の読書」推進などを行い、小中学校の不読率は一部で改善している。

 県教委調査では読書ゼロの比率43・2%は前年比1・3ポイント増えたとはいえ、ここ数年間で見ればほぼ横ばいだ。また同じ全国調査がないため比較しにくいが、文化庁の13年度「国語に関する世論調査」を見れば、「1カ月に本を1冊も読まない」のは16~19歳で42・7%、20代で40・5%を占めた。本県が特別に悪い数値とはいえず似通った傾向にある。

 ■情報編集力に役立つ■

 かといって、このまま放置していいわけではない。文化庁調査で「人が最も読書すべき時期はいつ頃か」と尋ねたら、「10歳代」という回答が44・8%とダントツのトップ。若いうちに読書に親しむ、若者にこそ読書は有益というのは全年齢で共通した認識のようだ。

 一般に読書の効用として▽集中力や理解力を高める▽創造力を豊かにする▽他人の心情に共感する力を養う▽文章から情景をイメージすることで脳の多様な領域を活性化する―などといわれる。

 中でも東京都で初めて公立中の民間人校長を務め、実践的な授業「よのなか科」を取り入れた藤原和博さんは出版イベントでこう話した。「これからの社会は正解を早く見つける『情報処理力』でなく、正解が一つとは限らない納得解を得る『情報編集力』が必要。自分と他人の知識や経験を組み合わせるには読書が役に立つ」と強調した。

 ■新1年生に推薦図書■

 県教委は読書に親しむ動機付けにと、本年度から県内書店と連携し新1年生に「高校の先生が選ぶ入学前にぜひ読んでほしい推薦図書」を紹介するブックフェアを始めた。

 また県立高全校で「読書週間・旬間」を設け、足羽など6校は朝の読書を通年で実践。武生東など書評合戦「ビブリオバトル」に熱心な学校もある。

 受験や部活動、さらにスマートフォンの普及で読書の時間確保は難しくなっている。読書離れの背景には、読む生徒と読まない生徒の二極化という課題も含まれている。

 県内でも赤ちゃんに絵本を配るブックスタートやボランティアの読み聞かせのほか、小中学校ではクラスみんなで一冊の本を読む独自の授業も展開中だ。こうした幼少期からの活動と連動し、高校でも読書の楽しみが伝わる工夫を凝らし、本嫌いを一人でも減らし本好きを育成する。地道だが読書層全体の底上げを図りたい。

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