【論説】震度7を記録し、41人の死者が出た北海道の地震から1カ月が経過した。その後も地震が相次ぎ、きのうは震度5弱の揺れを観測した。被災地は今も災害の渦中ながら、早急に教訓とすべき課題がある。

 特に懸念されるのが発生当初、道全域が停電した「ブラックアウト」である。道内の電力の半分近くを供給していた北海道電力の苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所がストップしたのが原因だった。

 数日で順次解消したが、農業や経済活動に大打撃を与えた。コストを抑えるため、発電を1カ所に集中させたことが招いた結果といえる。泊原発の再稼働に向けた安全対策に巨額をつぎ込み、他の発電所建設などへの投資が滞った側面も否めないという。

 ただ、泊原発が稼働していたとしても緊急停止した場合、同様のブラックアウトが起きていたとの見方もある。要は、1発電所に頼る危うさが顧みられなかったことが前代未聞の事態につながったのである。

 国が求めた大規模地震発生時の被害想定で、北海道が停電を含めていなかったことにも表れている。真冬であれば暖房の確保が困難を極め、多くの人命に関わる問題にもなった。「想定外」では済まされない。

 本州など他の電力会社では、電力間の「連系線」によりブラックアウトの可能性は低いとしている。ただ、複数の基幹発電所に同時に不測の事態は起きないといえるのか。現に大型発電所の緊急停止などが相次いでいるという。想定外を想定する作業は欠かせない。

 今年の日本列島はかつてないほどの災害に見舞われている。北海道地震の2日前には台風21号が関西空港を襲い、浸水などによって機能不全に陥り8千人が孤立した。

 地下にあった電源設備が浸水したためだった。高潮で滑走路などが冠水するような事態を「想定外」としていたことに最大の問題がある。その後も24号が首都圏を中心に交通機関をまひさせ、福井県内で開かれている国体の競技日程にも影響が出た。

 われわれ国民も、備えが不可欠なことを肝に銘じる必要がある。ここに来て防災グッズを買い求める動きが加速し品薄状態が報じられているが、「のど元過ぎれば」に終わらせてはならない。本州に接近している25号には細心の注意をはらってもらいたい。

 被害に遭った北海道や大阪は訪日外国人観光客の人気スポットだけに、観光産業への打撃は大きい。徐々に客足が戻ってきているとされるが、訪日客に対する情報提供の在り方を早急に検討してもらいたい。復興状況も併せて発信することで「風評被害」の軽減にもつながるだろう。

 安倍晋三首相は西日本豪雨などを受け「防災、減災、国土強靱(きょうじん)化のための緊急対策を3年集中で講じる」と強調した。だが、財政事情は厳しい。経験値を超える雨量や暴風、地震などに、どう対処していくのか。キャッチフレーズに終わらせてはならない。

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