岡口基一裁判官のツイート内容

 ツイッターに不適切な投稿をし当事者の感情を傷つけたなどとして、東京高裁が懲戒を申し立てた岡口基一裁判官(52)の分限裁判が波紋を呼んでいる。全国の弁護士や憲法学者らから「単に裁判例を紹介したに過ぎず、表現の自由の侵害だ。司法への信頼を損なう」「裁判官にもつぶやく自由はある」などと批判が続出。福井の弁護士も全国の弁護士約600人の賛同を集め10月3日、最高裁に声明文を提出した。最高裁は近く決定を出す。

 問題となっているのは今年5月のツイート。拾われた犬の所有権が、元の飼い主と拾った人のどちらにあるかが争われた民事訴訟について、取り上げたインターネット記事のリンクを貼り付けた上で、「公園に放置されていた犬を保護し育てていたら、3か月くらい経って、もとの飼い主が名乗り出てきて、『返して下さい』」「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しておきながら‥」「裁判の結果は‥」と本名で勤務時間外に投稿した。リンク先の記事では、犬が拾われた経緯や判決、拾った人の思いなどが紹介されていた。

 岡口氏が所属する東京高裁によると投稿後、元の飼い主から抗議があった。高裁は、当事者(元の飼い主)の感情を傷つけ、「裁判官の品位を辱める行為」に当たるとして7月、最高裁に懲戒を申し立てた。

 最高裁は9月、非公開の分限裁判を開き、岡口氏の意見を聴く尋問を実施。岡口氏は記者会見し「法治国家としてあり得ない。怖くて表現行為ができなくなる」と訴えた。

 憲法に詳しい福井弁護士会の島田広弁護士(50)は「ツイートは裁判例の概要を紹介したに過ぎない」と主張。発起人となって、「国民の人権を守る『最後の砦』の司法で人権侵害が生じることは、司法への国民の信頼を損ないかねない重大な事態だ」とする声明文を発表した。9月28日以降、全国の弁護士から呼び掛け人86人(うち福井8人)、賛同人516人(同12人)が集まり、連名で3日、最高裁に提出した。

 島田弁護士は「もし最高裁が懲戒を決めた場合、社会への影響も心配。従業員の私的なSNSやブログなどへの書き込みが、ささいな理由で雇用主から懲戒処分の対象とされかねない。市民は萎縮し、民主主義の発展を損なう」と話している。

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