6年ほど前に「変形性腰椎(ようつい)症」と診断されました。病変は第5腰椎と仙骨の間にあります。加齢とともに痛みが増すようになり、整形外科に通っています。手術をする必要はないということで、湿布や痛み止めなどの対症療法を行っています。治療や痛みとの付き合い方についてアドバイスをお願いします。(福井県小浜市・64歳女性)

 【お答えします】中嶋秀明 福井大学医学部 整形外科講師

 ■治療の基本は運動、薬物、リハビリ

 変形性腰椎症は、主に加齢による椎間板の脆弱(ぜいじゃく)化や腰椎の変化により、痛みやしびれなどの症状が生じる状態です。広義の病名であり、病的な状態とはいえない生理的な加齢性変化も含むので、推定患者は3790万人(男性1890万人、女性1900万人)といわれています。

 ただ、変形が高度になると、神経の通り道である脊柱管(せきちゅうかん)が狭くなり、神経が圧迫されて痛みやしびれ、異常感覚、間歇性跛行(かんけつせいはこう)(一定時間の歩行で下肢に痛みやしびれが生じ、短時間前屈位での休憩により症状が改善する)などの症状がでる「腰部脊柱管狭窄症(きょうさくしょう)」(推定365万~580万人)となる場合があります。

 また「腰椎変性側弯症(そくわんしょう)(腰椎が横に曲がる)」と呼ばれるような、外見上の変化を伴った姿勢異常による強い腰痛を生じることもあります。これらに加齢や運動機能低下による筋量低下を伴う「サルコペニア(筋肉減少症)」という病態が加わると、日常生活に及ぼす影響はさらに強くなります。

 質問の方の場合は、第5腰椎と第1仙椎の間の椎間板の脆弱化や変性がみられているものと推測します。症状が腰痛であるのか、神経症状(下肢痛)も伴っているのかも重要です。どの病態であっても、治療の基本は保存的治療(運動療法や薬物治療、リハビリテーション)です。

 ■慢性疼痛の薬剤進歩

 薬物治療に関しては特に近年、「慢性疼痛(とうつう)」と呼ばれる病態に対する薬剤開発が急速に進んでいます。数年来持続する慢性疼痛には、通常の痛み止めの効果は乏しいことが知られています。

 保存的治療抵抗性の腰部脊柱管狭窄症や腰椎変性側弯症は、手術治療の適応になる場合もあります。手術は最終手段ではありますが、一向に症状が改善しない保存療法を漫然と継続することは、決して適切な治療を受けているとはいえません。

 症状の原因や病態、治療方法はそれぞれ異なります。日本脊椎脊髄病学会認定の脊椎脊髄外科指導医が在籍する病院での診察をお勧めします。

関連記事