【越山若水】パ・リーグを制したプロ野球西武は約30年前、黄金期があった。中心選手だった石毛宏典さんは当時から「プロにチームワークは必要ない」と考えていたという▼要は個々が責任を果たすことが勝利の道と、スポーツ雑誌「スポルティーバ」に明かしている。ネット上を探すと王貞治さん、イチロー選手たちにも似た趣旨のコメントがある▼こんな話を書くのは、安倍晋三首相が持ち出した「全員野球内閣」に考え込んでしまったからだ。閣僚が一致して働くのは当然。プロの政治家たちなのに、なんでわざわざ強調したのだろう▼まさか、12人に及ぶ初入閣組に責任を果たせずカバーが必要な人がいるとの告白だったか。理解に苦しむ人事が見受けられるから、そう勘繰りたくもなる▼準備が佳境の五輪相を入れ替えたのはなぜ。米政権幹部がころころ代わる中で安定感がある数少ない一人、マティス国防長官の対応相手の防衛相を今、代えた理由はどこに▼組織の立て直しや大学入試改革に直面する文部科学相は本人のホームページを見る限り、衆院文科委員会を経験していなかった▼組閣への疑問は他にもあるが、やはり一番の不思議は内容が伝わらない「全員野球」の言葉を選んだこと。考えられる意味は身内に団結を呼び掛けることぐらいか。党内融和の材料にすぎないとしたら、大臣の価値も知れたものである。

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