【越山若水】水にまつわる神のすまいを名に持つ小惑星りゅうぐうの探査が順調だ。探査機はやぶさ2が放った小型ロボットがせっせと画像を送ってくる▼目指すのは生命や太陽系の誕生の秘密解明。地球から3億キロ離れた場所を調べるのは、小惑星には太陽系が生まれたころの物質が今も残るかもしれないからだとか▼特に水分を含む鉱物発見が期待されるが、これまでの調査では想定より乾いているらしい。ただ、仮に水があっても重力がごく小さな星。名前の印象と違い雨が降ることはあるまい▼地球は名前こそ土を連想するが水の惑星だ。日本の自然や人々の暮らしは、長く雨に潤されてきた。しかし、である。昨日はあまりに残念な天気になった▼福井国体の総合開会式が途切れぬ雨に襲われた。かっぱを着ていても、冷たい水はどこからか染みこんでくる。長時間拍手を送り続けた観客も、きびきび動いたボランティアも、悪条件をよく耐えた▼晴れの衣装をずぶぬれにしながら笑顔を絶やさなかった出演者、入場行進で明るく振る舞っていた選手たちにも頭が下がる▼季節外れのたとえになるが、七夕に降る雨を催涙雨(さいるいう)と呼ぶそうだ。天の川を渡れなくなった織り姫と彦星が涙を流すのでこの名がある。年に1度で星々が泣くのだ。50年に1度の祭典に水を差されたこのときばかりは、天への恨み言を大声で言いたくなる。

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