障害のある人たちが健常者とともにダンスを披露し「融合」を体現した式典演技=9月29日、福井県福井市の9・98スタジアム

 降りしきる雨の中行われた9月29日の福井しあわせ元気国体(福井国体)総合開会式では、障害のある人たちが炬火(きょか)走者や進行役のアナウンサーを務め、太鼓演奏やダンスを披露した。福井しあわせ元気大会(全国障害者スポーツ大会=障スポ)との「融合」を体現し、共生社会に向けたメッセージを全国に発信した。

 全身にまひがあり電動車いすで生活する福井東特別支援学校高等部2年の生徒(16)は、歓迎県民イベントの県合同太鼓チームに加わった。動かせる右手でばちを持って総勢約340人とリズムを合わせ「かっこいい姿を見せられた」と晴れやかに笑った。県立ろう学校高等部1年の生徒(16)は雨のため人工内耳を装着できず、音が聞こえない中での太鼓演奏となったが「たたいた振動は感じられるから落ち着いてできた」とほっとした表情で振り返った。

 式典演技でも障害がある多くの人たちが、健常者に交じってダンスを披露した。国体会期中に開かれる障スポオープン競技の車いすテニスにも出場する鯖江市の女性(46)は「観客や出演者と一緒になって国体を盛り上げることができた」と笑顔を見せた。

 炬火走者は8人のうち2人が障害があるアスリート。パラリンピックで三つの金メダルを獲得した車いす陸上の高田稔浩さん(53)=福井市=は「多くの方から声援をもらい、融合は間違いないと感じた」。聴覚障害者のスポーツの祭典「デフリンピック」サッカー日本代表の山森裕介さん(25)=鯖江市=は「自分の姿を見てもらうことで、国体・障スポに出たいという子どもたちが多く出てきてほしい」と話した。

 進行役のアナウンサーは、21歳で交通事故に遭い右ひざが曲がらなくなった橋本光代さん(48)=鯖江市=が高校生らと務めた。事故に遭ってから人前に出ることも話すことも嫌いだったが、「何事も挑戦」とボイストレーニング教室に通ってアナウンスを練習し大役を果たした。

 障害がある人たちが躍動する姿を、メインスタンド最上部にあるアナウンス室から見て思った。「障害のある人のことを健常者の方にもっと知ってもらうことで、優しい社会になるといいな」

 
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