【論説】多くの福井県民が力を合わせ準備した、半世紀ぶりの一大イベントの幕開けである。きょうは福井しあわせ元気国体の総合開会式。10月13日開幕の福井しあわせ元気大会(全国障害者スポーツ大会=障スポ)と合わせ、国内最大のスポーツの祭典を楽しむ時が来た。

 大会の主役は、選手だけではない。「見る」「支える」など、さまざまなかかわり方で参加する人みんなの大会である。両大会の計14日間が、一人一人にとって最高の時間になることを願いたい。

 ■終わってほしくない■

 「この試合が一番悔しい。でも楽しくて、終わってほしくなかった」。会期前に行われたハンドボール少年男子で、決勝を終えた福井の主将の言葉だ。

 敗れたとはいえ、全国高校選抜、全国高校総体を制した強豪を向こうに回し、福井の選手は極限の集中を見せた。会場を埋めた観客の大声援は選手の背中を押した。「する」「見る」「支える」すべての人がつくり上げた試合―。多くの人がそんな手応えをつかんだのではないか。

 前回福井国体のテーマは「新しい時代をひらく国体」だった。豊かな郷土建設を目指す中、県づくりの原動力にする、との位置づけが記念誌に書かれる。

 50年がたち、国体・障スポの価値観は変化した。スローガンには「織りなそう」との言葉が含まれる。立場の違う人たちが同じ空間で感動を共有し、つながりを深めよう、との趣旨を表している。

 ハンドやビーチバレー、自転車など、会期前競技は新しい国体・障スポの意義を実感できる内容だった。これから本格化する競技に大いに期待を寄せたい。福井県勢だけでなく、全国の選手に、良い状態で力量を発揮してもらいたい。

 ■できることが増える■

 今回の国体・障スポは、「融合」を掲げている。単に競技日程の話ではない。いろんな人が一緒に楽しむことを意味している。例えば、デモンストレーションスポーツでは、29の競技団体が障害者とともに楽しむルール作りに取り組んだ。「交流の大きな財産になる」(国体・障スポ事務局)ものだった。

 「少しの手助けがあればできることが増えると知ってほしい」。本紙連載「挑む思い ふくいの障スポアスリート」に登場した西島徹さんはこう話していた。

 手助けといっても、上下関係があるわけではない。サポートをする人、受ける人の組み合わせは障害の有無だけでなく、性別や年齢など、さまざまにあてはまるだろう。スポーツの枠を超えて、あらゆる場面に生きる言葉だ。

 障害の原因は個人にあるのではなく、一人一人を取り巻く社会の側が壁をつくっている。障害者権利条約が貫く考え方だ。「融合」を、多様な人々が互いに尊重し、共生していくきっかけにしたい。そうなれば両大会は、未来にとって限りない価値を持つ。

 ■ゲームズメーカー■

 スポーツは、楽しみ、喜びを得るもの。自発的な参加が出発点であり、それは「支える」人も同様だ。

 国体・障スポ事務局によると大会が近づくにつれ、特に障スポに関して個人、団体問わず「何かできることは」「大会後も活動したい」などの問い合わせが増えていた。関心の高まりを示す頼もしい状況である。

 活動の参加者が、どんなやりがいを見つけてくれるかは大切なポイントだ。その経験や感じたものが、両大会が地域に残す無形の遺産となる。

 スポーツボランティアの成功例とされるロンドン五輪・パラリンピックでは、ボランティアを表す言葉に「ゲームズメーカー」が使われた。大会をつくる人、の意味だ。大会後のパレードは選手に加えボランティアも誇らしげに歩き、ロンドン市民の喝采を浴びた。

 国体・障スポも、「支える」人への感謝にあふれる大会にしたい。きょうから雨が予想され、活動の負担が増す。会場に来た人から、ねぎらいの声が多く飛び交うことを期待したい。

 期間中、会場に行けない人も多いだろう。でも、開会式会場周辺の交通規制の協力、来県者に道案内することなど、あらゆる形の参加がある。できるだけ多くの人に、当事者として大会を記憶に残してほしい。

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