福井県勝山市が差し押さえていた五重塔や周辺土地=9月27日、同市片瀬

 福井県勝山市が、越前大仏で知られる大師山清大寺(同市)を建立、運営し経営破綻したグループ企業2社の滞納市税約40億8千万円を、民間の債権放棄に当たる不納欠損処理していたことが9月27日分かった。市税滞納から22年を経て五重塔や土地などの差し押さえを解除した。2017年度決算で処理し現在、市会決算特別委が審査している。

 市によると、差し押さえていたのは高さ75メートルの五重塔や門前町の建物と敷地約3万4千平方メートル。所有していた不動産管理会社など2社の1996年度から2014年度までの法人市民税、固定資産税の滞納分として差し押さえていた。現在は宗教法人の清大寺が所有している。

 07年以降、公売見積価額(最低落札価格)35億円で五重塔などを公売に出したが応札はなく、計9回すべて不調に終わっていた。14年に国税徴収法改正で差し押さえ解除の要件が明確になったことを受け、このまま公売を続けても回収の見込みがないことから今春、不納欠損処理を決め手続きを進めてきた。

 市では「あまりにも金額が大きいため(手放す)法的根拠がないとなかなかできなかった。差し押さえを続ければ寺の活動も制限し続けることになる。どこかで踏ん切りは必要だった」と話している。

 清大寺は1987年に同市出身の故多田清氏が建立。一時、寺を運営していた相互タクシー(08年自己破産)が国税庁から申告漏れの指摘を受け争ったものの法人税の追徴課税213億円が02年、最高裁で確定。その後、寺を所有していたグループ企業とともに経営的に行き詰まり県税、市税を滞納し、土地建物が差し押さえられていた。

 県は09年に県税滞納分約57億円を不納欠損処理している。寺によると、今回の勝山市の処理により寺が持つ土地、建物の差し押さえ案件はなくなった。

関連記事