~「ふくい四季のしあわせ綴り」とは~
福井の地で脈々と続いてきた四季折々の伝統行事、風習、食文化。何気ない日々の暮らしの中に受け継がれているコトやモノにこそ、わたしたちが「しあわせ」を感じられる理由があるのではないでしょうか。そんな「しあわせの歳事」の数々を、福井県がこのほど「ふくい四季のしあわせ綴り」としてまとめました。それらを深く知り体感すれば、この福井がもっと好きになり、さらにはそれぞれのしあわせの再発見につながることでしょう。

「ふくい四季のしあわせ綴り」の中から、今回は10~12月に見られる福井県内の主な「食の風習」をいくつかご紹介します。あなたはどれくらいご存知でしょうか? 
 

(1)秋から冬にかけて仕込む福井の逸品「へしこのつけ込み」/10月~11月/美浜町ほか

へしこのつけ込み

鯖や鰯(いわし)を糠(ぬか)で漬けた「へしこ」は、魚を長期保存するための先人の技術と工夫が詰まった、福井を代表する発酵食品です。新米の糠が出回る秋から冬にかけて漬け込み、約1年かけておいしいへしこになります。へしこの名前の由来は諸説あり、魚を塩漬けにすると浮き出す水分“干潮(ひしお)”が変化したとも、鯖を木樽に漬け込むことを「へし込む」という漁師言葉がなまったとも伝わっています。糠を軽く落として火で炙ったものはお茶漬けや酒の肴にぴったり。新鮮なものは刺身でも食べられます。

 

(2)冬の味覚の王者「越前がに漁の解禁」/11月6日/県内各地

越前がに

「越前がに」とは、福井県で水揚げされた雄のズワイガニのこと。黄色いタグが目印で、毎年皇室にも献上されています。この越前がに漁は毎年11月6日に解禁され、翌年の3月20日まで行われます。海上で解禁を迎え、すぐに漁ができるよう、前日の夜から多くの漁船が出港することでも有名。茹でた重さが1.3キロ以上、甲羅幅14.5センチ以上、爪幅3センチ以上の基準をクリアしたズワイガニを最上級ブランドの「越前がに極(きわみ)」として認定しており、競り値の最高値は1匹当たりなんと46万円というから驚きです。

 

(3)福井の冬に欠かせないふるさとの風景「水ようかん」 /11月~/県内各地

水ようかん

寒い冬に「水ようかん」をこたつで食べるのは、福井県民におなじみのふるさとの風景。大正時代頃から定着した風習といわれています。地域によっては「でっちようかん」とも呼ばれ、他県のものに比べると糖度が低く、やわらかくて瑞々しいのが特徴です。黒砂糖と小豆、寒天とシンプルな素材でつくられているため日持ちがせず、11月~3月の寒い時季に販売されます。冬が近づき寒くなってくると食べたくなる、福井を代表する銘菓のひとつです。

 

(4)400年以上の歴史あり!「つるし柿づくり」/11月~12月/南越前町

つるし柿づくり

南越前町の特産「今庄つるし柿」は、北陸道の宿場町「今庄宿」があった旧今庄町の名物。その歴史は400年以上にもおよびます。「一つ食えば一里、三つ食えば三里歩ける」といわれ、江戸時代の旅人や参勤交代の大名一行が携帯保存食として買い求めたと伝えられています。収穫時に鮮やかだった柿の色は、つやのある独特の褐色に。干した柿をナラやケヤキをくべた煙でいぶして燻製するという全国的にも珍しい製法で、つるし柿の甘みを最大限に引き出しています。

 

(5)交流の場にもなる浄土真宗の法要「報恩講(ほうおんこう)」/11月~1月/嶺北地域

報恩講

報恩講とは浄土真宗の開祖とされる親鸞聖人(しんらんしょうにん)の報恩謝徳のために営まれる行事。門徒が寺に集まり、午前と午後のおつとめを行ったり説教を聞いたりするなど、ほぼ1日をかけて行われます。そのときの昼食をお齊(とき)と言い、一汁三菜を基本に、厚揚げとじゃがいもの煮物、ナスの煮物、八ツ頭芋の茎を酢漬けにした「すこ」、白和えなど様々な福井の郷土料理が並びます。親鸞聖人が小豆を好んだという説から、小豆料理を作るところも多く見られます。「報恩講料理」の特別な味を囲んで集まるひとときは、世代をこえた交流の場にもなっています。

 

(6)三方五湖の自然も守る「タタキ網漁」/11月~3月/若狭町 三方五湖

タタキ網漁

大正末期から三方五湖に伝わり、竹竿で水面をたたいて湖底にいるコイやフナを驚かせて仕掛けておいた網に追い込む伝統的な漁法。タタキ網漁に用いる網の目は13~16cmの大きさですが、乱獲を防ぐため、その年の幼魚の生育具合によって替えられています。また、外来生物の繁殖を防ぐ役割も。獲れたコイは淡水魚独特の泥臭さもなく、刺身をはじめ甘露煮や味噌汁にして食べられます。三方五湖の恵みは地元の人々にとって、暮らしに息づいた大切なものなのです。

 

(7)小浜発、食の世界遺産!「鯖のなれずし 味の箱舟認定」/12月21日(2006年)/小浜市

鯖のなれずし

小浜市に古くから伝わる「鯖のなれずし」は、鯖を糠で漬けたへしこを塩出しにし、麹と混ぜたご飯を背につめて樽の中で発酵させたもの。先人の知恵が詰まった「海のチーズ」とも呼ばれる逸品で、お正月や祭りなどハレの日に食されます。「すし」の研究者たちは“わが国古代の「鮓」は、なれずしであった”と説いています。また、イタリア・スローフード協会国際本部が提唱し、食の世界遺産ともいわれる「味の箱舟」に、2006年12月21日に北陸で初めて認定されています。県内ではほかに勝山、大野などでも作られており、食べ比べてみるのもおすすめです。

 

(8)かぼちゃと小豆で甘い開運を「冬至南京(とうじなんきん)」/12月下旬/県内各地

冬至南京

冬至は1年で日照時間が一番短い日。この日を境に日が長くなることから、弱まった太陽が生まれ変わって力が甦るとされ、冬至を境に運が向いてくると考えられてきました。そのため、「ん」のつくものを食べると運を呼び込める「運盛り」といういわれがあり、「南京」を食べる風習が定着。福井では悪い気を除くとされる小豆を南京と一緒に似て食べる風習が見られます。ちなみに南京以外の「ん」がつく縁起のいい食べ物として、「れんこん」や「にんじん」、「ぎんなん」「きんかん」「かんてん」「うどん」があり、冬至の七種(ななくさ)と呼ばれています。

 

(9)そばで災厄を断ち切る「年越しの風習」/12月31日/県内各地

年越しの風習

年越しそばは江戸時代から続く風習。そばは他の麺類よりも切れやすいことから「今年一年の災厄(さいやく)を断ち切る」という意味で大晦日に食べられてきました。「越前そば」と呼ばれる福井のそばは辛味のある大根おろしと出汁をかけて食べるのが特徴。この他に刻みネギ、鰹節、刻み海苔などをかけることもあります。昭和天皇が1947年(昭和22年)に来福された際、「うるしや」のもりそばを「越前の蕎麦」としてお気に召され、その後も折に触れて「越前の蕎麦」の話をしたことに由来し、以降、「越前そば」と呼び習わされるようになったといわれています。大晦日には年越しの時間帯に多くの寺院で除夜の鐘が撞かれ、厳かな雰囲気の中で新しい年を迎えます。

 

いかがでしたか? 各地の食の風習、いくつ知っておられたでしょうか?
これらの福井県内の食の風習の詳細は、福井県のHP「ふくい四季のしあわせ綴り」で見ることができますよ。
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